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レポート

犀川河川敷から広がる活動、楽しみながら地域愛を育む~「サイガワあかりテラス」レポート(後編)~

3回目を迎えた「サイガワあかりテラス」は、イベント期間中はもちろん、それ以外にも様々な活動を誘発しています。

前編に続き、後編の今回は、ムーブメントの広がりと今後の展望についてご紹介します。

夜空に映える構造美! 文化財の橋もライトアップ!

まずは9月のイベント本番。広い河川敷に会場を移した「サイガワあかりテラス2016」では、2万個のペットボタルに加え、もう一つの大きな展開がありました。それは、国土交通省金沢河川国道事務所の強力なバックアップが得られたことです。

今回のイルミネーションの規模拡大にあわせて、金沢片町まちづくり会議より金沢河川国道事務所へ犀川大橋のライトアップの協力を打診したところ、快諾。わずか1カ月半ほどの準備期間にもかかわらず、無事実現にこぎつけました。ライティングデザイナーの長町志穂さん(株式会社LEM空間工房代表取締役)の監修の下、今年92歳を迎えた日本最古のワーレントラス橋の構造美が見事にメイクアップされたのです。

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美しく彩られた犀川大橋と河川敷 Photo by Takashi Mukai

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絶妙なライティングにより夜の顔に Photo by Takashi Mukai

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強調される犀川大橋の構造美 Photo by Takashi Mukai

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犀川大橋と河川敷が美しく輝く夜景 Photo by Masahiro Katagishi

 

イベントからムーブメントへ! 水辺からシビックプライドを育もう!

そして本番までにも、いくつかの小さな取り組みを展開してきました。

7月7日には、国交省が全国各地で進める「ミズベリング」の取り組みに同調し、「水辺で乾杯 at サイガワ」を開催。ほぼフェイスブックページの呼びかけのみでしたが、約50人が集まりました。金澤ブルワリーのクラフトビールで、楽しく思い出深い乾杯となりました。

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大いに盛り上がった「水辺で乾杯 at サイガワ」 Photo by Masahiro Katagishi

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犀川をこよなく愛する人たちも楽しく乾杯 Photo by Masahiro Katagishi

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この溢れんばかりのエネルギーをこれからも! Photo by Masahiro Katagishi

 

また、8月11日には、犀川沿いの新竪町校下の子どもたちを対象に「ペットボタルづくり教室」を開催。ペットボタルを製造しているサンケン電気株式会社ならびにサンケンオプトプロダクツ株式会社のご厚意により、ペットボタル100個を無償提供していただきました。

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新竪町校下の子どもたちによるペットボタルづくり教室 Photo by Masahiro Katagishi

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河川敷を彩った「♡しんたて」の文字は子どもたちの作品 Photo by Masahiro Katagishi

 

さらに、9月9日には、国土交通省金沢河川国道事務所と地元商店街組織(VSP団体)の合計約30人が、犀川大橋の長寿を祝うフラワーアレンジを実施。174基のプランターを並べ、敬老の日に贈ることが一般的な「りんどう」178株、「マリーゴールド」744株を植え込みました。長年にわたって金沢都心部の大動脈を担う犀川大橋にとって、花と光による素晴らしい祝宴となったかと思います。

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みんなで協力して花の植え込み作業を実施 Photo by Mamiko nakanishi

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犀川大橋のトラス部材の足元を美しい花で演出 Photo by Masahiro Katagishi

 

パブリックスペースを楽しみながら使いこなすために

近年、プロジェクトマネジメントの考え方として、イギリスの著述家であるトニーブザンが提唱した「TEFCAS」(テフカス)が注目されています。TEFCASとは、Trial(試行)→Even(実行・出来事)→Feedback(フィードバック)→Check(チェック)→Adjust(調整)→Success(成功)のサイクルであり、最初に成功を強くイメージした上で試行・実行し、その結果をきちんとフィードバックして評価・調整することが成功につながるという一連の流れを指すものです。

これを頭に置いて、今までの「サイガワあかりテラス」の活動を振り返ってみると、1~2回目はトライアル(試行)で、今回の3回目にしてようやくイベント(実行・できごと)になってきたといえるのではないでしょうか。すると今後大事になってくるのは、その結果をみんなで振り返り、評価し、次回に向けて調整していく作業であり、この作業こそが目指すべき「シビックプライドの醸成」という成功へのカギを握るはずです。

金沢出身の文豪・室生犀星のように、犀川を心の故郷とする人々がその水辺から多く輩出されることを願いながら、これからも人のため、地域のため、そして地元の皆さんと一緒に自分たちも楽しむために、犀川というパブリックスペースの使い方を模索していきたいと思います。

 

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