【ソトノバ・ピープル】「まちにどっぷり浸かって、活動していきたい」──都市計画コンサルタント 荒井詩穂那さん

「ソトノバはどんな人が、どんな動機でつくっているの?」

パブリックスペースに関心がある有志が集まって発信する、パブリックスペース特化型ウェブマガジン「ソトノバ」。2015年11月の正式オープン以来、200本を超える記事を配信してきました。1周年記念パーティーの開催に向けて、ソトノバを支えるメンバーにスポットを当てて紹介していきます。

トップバッターは荒井詩穂那さん。都市計画コンサルタントの首都圏総合計画研究所に所属しながら、生まれ育った横浜では公園を活用したプロジェクトを仕掛けています。ソトノバでも地域密着の実践型企画「ソトノバLOCAL」を発案・担当するなど、八面六臂の大活躍。その原動力は、どこから湧き出ているのでしょうか?

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── ソトノバデビューは正式オープンから間もない去年の11月。パークキャラバンのレポート記事でしたね。

荒井さん 仕事の関係で何となく顔見知り程度だった泉山さん(ソトノバ編集長)から、ホントに突然「ソトノバのライターやらない?」と連絡が来て。ちょうど地元の公園でパークキャラバンを企画していたところだったので、その記事を書かせてください!と二つ返事で引き受けました。

荒井さんが地元の公園を会場に企画した「パークキャラバン」のレポート記事。

荒井さんが地元の公園を会場に企画した「第3回パークキャラバン」のレポート記事。このセルフレポートがソトノバライターとしてのデビュー作です。

── そのパークキャラバンには、どういうきっかけで関わるようになったのですか?

荒井さん 家の近くの公園を何とか盛り上げたくて。神奈川区のポートサイド公園。水辺で雰囲気もあって、公園としてのポテンシャルは高いのに今ひとつ活用されていない。それでまず、つながりを持とうと公園の愛護会に入ってみたものの、メンバーはリタイアした方ばかり。できることも限られているし、そもそも公園で何かやろうという感覚がなかった。そんなときにたまたまFacebookで第1回のパークキャラバン開催を知って、「これだ!」と思って。

ところが当日はすごい雨。本当にやっているのか不安になりながら会場の保土ヶ谷駅前公園に向かってみると、やっていた。これは普通の人たちではないな、と(笑)。

── そこで主催者とも面識ができた、と。

荒井さん 主催するNPO法人ハマのトウダイ、共同代表の岡部祥司さんとはそのとき初対面でした。そこで地元の公園を何とかしたい、と熱弁したところ、だったらやってみない?と誘われて。ちょうど年1回、ポートサイド公園でやっているお祭りがあるので、それに併せて開催できればと提案、話が盛り上がりました。だけど肝心の岡部さんが、その日は来られないということが分かって……これは自分で全部やらなきゃ、となって考えたのが「アウトドアリビング」というテーマでした。

── 荒井さんは生まれも育ちもその辺りなんですか?

荒井さん はい、父の代からの古い戸建です。もともと海べりの工場地帯で何もなかったところに、私が生まれた頃から一気にマンションが建ち始めて。20年ぐらいかけて開発が進んで、今は街としては落ち着いてきているのですが、生活感がないんですよね。自分のような元々の住民と、高層マンションに新しく入ってきた人が交流できる場になればと思って、そこはパークキャラバンの企画でも意識しました。そもそもまちづくりに興味を持ったのも、あそこに住んでいたからですね。

大学院の交換授業で開眼

── なるほど。それで大学は建築学科に。

荒井さん それもあるけど小学生のころから住宅には興味があって、中学生の時点で、すでに建築学科に行きたいと決めていました。だから進路の悩みは一切なく(笑)。

でも大学時代はちゃんと勉強してなくて。4年生で研究室に配属になるとき、横浜が好きなので研究テーマにしたいと教授(日本建築史が専門の小沢朝江・東海大学教授)に相談したら、横浜は公園が面白いんだよ、と薦められて。調べ出してみたら本当に面白い歴史があって、一気に真面目になった(笑)。それからもうちょっとちゃんと勉強したいと思って、大学院への進学も決めました。

── 大学院ではどんな研究をしていたのでしょう。

荒井さん 論文のテーマは引き続き公園の計画史ですね。また、都市についてきちんと勉強したいと思っていたので、神奈川県内の大学間での単位交換制度を活用しました。それで受講した横浜市立大学の鈴木伸治先生の授業が、今振り返るとすごかった。野原先生(横浜国立大学の野原卓准教授)や直人先生(東京大学の中島直人准教授)、BOAT PEOPLE Associationの山崎博史さんや岩本唯史さんなど、豪華ラインナップ。それまであまり外の話を聞く機会がなかったから、すごく新鮮で刺激的で……この授業が今の私を、かなり形づくっています。

── ソトノバに参加してみて、何か手応えや変化したことはありますか?

荒井さん 記事が意外と読まれていて、面白がってもらえているのがいいですね。自分でも使うんですよ。仕事で事例を調べるときに、「そういえば、あんな記事があったな」って。

企画が企画を呼ぶ怒涛の展開

荒井さん 企画面でも、パークキャラバンとコラボした「ソトノバTABLE#5」がきっかけで、相鉄いずみ野線の南万騎が原駅の「みなまきラボ」へと話がつながったり。最近になって、岩本さんや野原先生など、大学院時代の講師の方々と一緒に活動できているのが感慨深いですね。

パークキャラバンとのコラボレーションで横浜スタジアムの「+B BALLPARK COFFEE」で開催した「ソトノバTABLE#5」のレポート。ここから「みなまきラボ」へと話がつながっていきます。

パークキャラバンとのコラボ企画として横浜スタジアムの「+B BALLPARK COFFEE」で開催した「ソトノバTABLE#5」のレポート。ここから「みなまきラボ」へと話がつながっていきます。

相鉄いずみ野線の南万騎が原駅にオープンしたまちづくり拠点「みなまきラボ」の運営サポーターとして開催する「ソトノバLOCAL」。運営事務局のオンデザインパートナーズからの声掛けでつながりました。

相鉄いずみ野線の南万騎が原駅にオープンしたまちづくり拠点「みなまきラボ」の運営サポーターとして開催する「ソトノバLOCAL」。運営事務局を務めるオンデザインパートナーズからの声掛けでつながりました。

── 荒井さんの行動力と実行力には本当に脱帽です。最後に、何か今後の目標や、やりたいことのイメージがあれば。

荒井さん 都市計画コンサルタントという仕事をしていて痛感するのが、愛着や想いの熱さでは地元の人には勝てないということ。第三者の立場から客観的な意見を言うのが役割なんだけど、私の本当の興味はそっちではない。将来的には横浜はもちろんですがそこに捉われず、どこか縁のあったまちにしっかり浸かって活動していきたいな、って思っています。

この10月に開催した、保土ヶ谷駅前公園でのパークキャラバンでも活躍する荒井さん。 Photo by KunihikoTABATA

この10月に開催した、保土ヶ谷駅前公園でのパークキャラバンでも活躍する荒井さん。 Photo by Kunihiko TABATA

ソトノバ・ピープルに会える、11/5の1周年記念パーティはこちら。
「1周年記念パーティ!ソトノバとパブリックスペースの1年を振り返る」ソトノバTABLE#10

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樋口 トモユキ

樋口 トモユキ

ソトノバ副編集長/修士(建設工学, 都市工学) 建築専門誌の記者から転身、ドラマチックに合流する。愛知県名古屋市出身、東京都中野区東中野在住。東大まちづくり大学院1期生。人々が集まり営む都市というものに対する飽くなき好奇心を胸に、新たな発見を求めて夜な夜な街に繰り出す。キューバ渡航歴6回、東京都公認ストリートライブのライセンスを持つラテンパーカッショニスト。座右の銘は「君子豹変す」。