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ストリート|道路空間

公募参加者が企画から実践まで学ぶ!Park(ing)day2019渋谷宮益坂

ソトノバ内で毎年恒例となりつつあるPark(ing)day。3年目である、今年の舞台は渋谷宮益坂です!

2017年は大宮(さいたま市)、2018年は沼津(静岡県沼津市)で実施しました。ソトノバは、2年間の実績と経験を活かし、より多くの実践者を生むために、3年目の今年はPark(ing)dayのノウハウを学ぶ「ソトノバ・スタジオ|タクティカル・アーバニズム」を開催し、実践者を公募しました。

今回、渋谷をフィールドにした取り組みであることから、ソトノバ とシブヤ大学(渋谷をキャンパスに、誰もが受けられる授業を行うNPO)、ロフトワークで実現に向けた企画相談をしていました。私自身はシブヤ大学からのサポーターとして、この取組みのサポートをしていた視点から、このPark(ing)day2019渋谷宮益坂がどのように企画し、実施したのかをレポートします。


Park(ing)dayとは?

Park(ing)dayとは、毎年9月第3金曜日に路上パーキングスペースを小さな公園に変えるという世界的ムーブメントです。そのきっかけは2005年に米国のサンフランシスコでREBAR Groupという学生チームがゲリラ的に行ったPark(ing)という取り組みでした。

各地でのPark(ing)dayの様子はtwitterやInstagramのハッシュタグを検索することで見ることができます。

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出典:Instagram #parkingday

また、ソトノバがPark(ing)dayを開催する際にREBAR Groupが出したオープンソースマニュアルを邦訳し、これに基づいて実践しています。

Park(ing)day Manual Japanese ver.

開催場所は、都内初となる渋谷宮益坂!

渋谷駅を降りて表参道方面に位置する宮益坂。JR渋谷駅東口から歩いて5分もかからず到着。駅の近くであり、常に人と車が行き交っています。

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荷捌き車両を中心に、路上駐車が多い宮益坂

渋谷宮益坂で開催した3つの背景

3つの背景から、Park(ing)dayを宮益坂で実施したいという方向性が決まりました。

1.宮益坂の仮設歩道の交通社会実験

元々、路上駐車が非常に多かった渋谷宮益坂は、その問題の解決を図るために、2017年から「路上駐車削減社会実験」で荷捌きの集約化を、2018年から「歩行者中心の道路空間の実現に向けた社会実験」による歩行者空間の拡幅をやっていました。

2.ソトノバからの渋谷区への打診

ソトノバの共同代表理事である石田さんが、渋谷区道路課に渋谷でのPark(ing)dayを実施したいとの打診を以前から進めていました。そこで、渋谷駅周辺の注目度が高いところでの実施という条件での開催。候補として自然に宮益坂が挙がってきました。

3.「歩行者中心の道路空間」を目指して

今年5月にニューヨーク市・元交通局長、現NACTO(National Association of City Transportation Officials:米国自治体交通局職員協会)議長のジャネット・サディク=カーンさんが来日した際に、渋谷区長である長谷部さんと共に宮益坂を視察しました。その際に、渋谷区が日本で初めてGlobal Street Design Guideの推奨自治体になることが決まり、歩行者中心の街路を整備していく方針がより強固になったという背景があります。

地元の協力は欠かせないもの

上記の3つの背景から、宮益坂で実施したいという方向性が決まりました。実施する上で欠かせないものが、地元の協力です。

渋谷区の宮益商店街振興組合さんとのご縁もあり、Park(ing)dayの協力について快く引き受けてくれました。また、行政や警察署への事前協議も行い、安全上「車が突っ込んでくる心配がないところ」で実施するようにとの指摘が。そのため、交通社会実験により拡幅された歩行者空間は、安全性の高いガードレールとボラードが設置してあるため、そのスペースの使用することとなりました。

そこまで来てやっと、Park(ing)dayの開催が実現することになり、「ソトノバ・スタジオ|タクティカル・アーバニズムクラス」の応募が始まりました。

Park(ing)dayのプロセスを学ぶ タクティカル・アーバニズムクラス

この講座を実施したねらいとして、ソトノバが2年間やってきたPark(ing)dayの知見を共有するということ。それは、ソトノバ以外の実践者が全国各地でPark(ing)dayに限らず、様々なアクションを行えるようになってほしいという ことを目指しているからです。

講座は全6回で、参加者同士で高め合いながら、プロデューサーやゲスト講師から得た学びを活かし、Park(ing)dayの企画に落とし込んでいきます。

タクティカル・アーバニズムクラスでは、Park(ing)dayに必要なプロセスとして、タクティカル・アーバニズムについて、mi-ri meterの笠置秀紀さんから道路空間を利用した社会実験のヒント警察署への申請書類の作成方法やポイントなどを学びました。

そして、今回のPark(ing)dayでは、実施できる対象箇所が2つあり、AチームとBチームに分かれて実施しました。各チームが1つずつエリアを担当します。

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タクティカル・アーバニズムクラスのレクチャの様子

また、渋谷宮益商店街振興組合に対しても、開催時の現場がどうなるかの理解を得てもらうために当日のPark(ing)dayについての説明をしました。

ついにやってきたPark(ing)day当日

この日に向けて準備を進めてきた両チーム。
Park(ing)day当日の様子と各チームのコンセプトについて説明します。

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Park(ing)dayの看板も設置

Park(ing)day開催に向け、設営スタート!

Park(ing)dayの対象地は渋谷区の交通社会実験によって歩道が拡幅された2つのエリア。事前に許可を得た場所に、道具を運びます。

現場近くまで車で乗せてきた道具を宮益坂まで運び、手分けして設置します。この場所がこれからどう生まれ変わるのでしょうか。

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渋谷区の交通社会実験による歩行者空間が拡幅されたエリア
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芝生をひいたり、座れる場所をしつらえます

風船チーム 風を感じる居場所に

風船チーム(Aチーム)は「風を感じる」をコンセプトにしており、風を感じる工夫として風船や風車を使って駐車スペースを美しい場所に変貌させました。喧騒のある渋谷の中であっても、風船のおかげで自然の風を体験できる場所になっていました。

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宮益坂の街路樹とマッチする風船群

くつろぎチーム 宮益坂につくる3rd Place

くつろぎチーム(Bチーム)は「宮益坂3rd PLACE」がコンセプト。サードプレイスとは、家庭(第1の場所)でも職場(第2の場所)でもない、第3の居場所のこと。

居場所になるように人工芝を敷き、座れる場所、タープを設置。参加型アクティビティとしてPark(ing)dayの付箋アートも設置しました。

さらに、芝生に寝転んで街路樹の隙間から空を見上げたり、坂道の上にあるパレットから宮益坂を見下ろしたりと様々なアイレベルから景色を楽しめるようになっていました。

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参加者のみんなで付箋アートをつくりあげます
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ポストイットを1枚1枚貼っていきます

まずは自分たちがPark(ing)dayを楽しもう!

13時になり、Park(ing)day2019渋谷宮益坂がスタート。芝生で寝転んでみたり、置いてある風船を触ったりしてそれぞれのやり方で楽しみます。まずは自分たちが楽しんで使うことで、歩行者にPark(ing)dayについて興味を持ってもらいます。

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道路に突如出現する風船群

ご飯を食べたり、パブリックスペースの使い方について議論したり、けん玉をやっている方もいました。滞在している人がそれぞれ違ったPark(ing)dayの楽しみ方をしています。

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サードプレイスとして、利用者の居場所に

利用者の反応や人数を見ながら必要に応じてレイアウトを変更。Park(ing)dayの開催中来た人が気持ちよく居座れるような場所づくりを心がけます。

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渋谷のストリートでピクニック
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ピクニックのプロ!さすがのクオリティ

東京ピクニッククラブも参加し、より一層盛り上がりを見せるPark(ing)day。人が増えると場の議論も白熱し、次は「自分のまちでやりたい!」、などの声も聞こえました。

また、講座の参加者がPark(ing)dayを実践してストリートの使い方に対して可能性を感じた人が多く、かくいう私もその1人。道路空間がこんなにも自由な場所に生まれ変わるのだと驚かされました。

もう少しこの場所にいたいという気持ちもありますが、Park(ing)dayも終了に近づいてきたので、各チームのエリアでみなさんと記念撮影!

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風船チームの場所で記念写真、風船がいいアクセントに
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くつろぎチームの場所で記念写真、低い視点であるため街路樹が引き立つ

スムーズに撤収、立つ鳥跡を濁さず

後片付けは抜かりなく。これもPark(ing)dayの大事なプロセスの一つです。Park(ing)day実施前より綺麗になるように片付けをします。

夕方の宮益坂は人通りが多く、通行の邪魔にならないようにを運びます。

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Park(ing)dayのPマークを協力して運びます 

片付けを終えて残すは?

パーキングデーマニュアルにもありますが、片付けをして終わりではありません。

パーティに出かけてまちを祝うのもPark(ing)dayのアクションの1つ!渋谷でおいしいお酒とご飯を食べて無事にPark(ing)dayを終えました。

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Park(ing)dayを終えて飲むお酒は格別

Park(ing)day2019渋谷宮益坂を終えて

あの場所にいて感じたのは、Park(ing)dayを実施する側と利用する側、どちらも楽しく過ごしていたということ。楽しんで実践している人たちの姿からPark(ing)dayについての興味が生まれ、Park(ing)dayや歩行者優先の道路の考え方が広がっていくのでは、と思います。

そして、渋谷で開催とのこともあり、多くの視察が来ていました。メディアも様々な所に取り上げられ、道路活用の実践例として非常に高い注目の中での開催でした。

公募参加者の人たちが、今回のようにPark(ing)dayのノウハウを共有して他の場所で実践したり、視察に来た人が感化されて開催したりして、少しずつPark(ing)dayの輪が広がっていくのかなと感じました。

ぜひみなさんも来年は実践者として、自分の縁ある場所で開催してみてはどうでしょうか。

All photo by Takahisa Yamashita

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