ソトを楽しむ暮らしの風景 inネパールー日常使いのモバイルファニチャー

日常や旅先の訪れた先々でも、ソトで楽しく過ごしている人たちがつい気になってしまいます。国や地域ごとに、面白い道具を使っていたり、まわりの環境をうまく使っていたり、もはやその場自体が独自の文化であったりと、場の作り方や使い方が異なっていて面白いなぁ〜と感じます。そこで今回は、筆者が訪れ、ネパールで見つけた素敵なモバイルファニチャーを紹介します!

まちのあちこちにある謎のスツール?

2014年にネパールを訪れた際、まちのあちこちで使われているスツールが目に付きました。この道具は現地で「ムラ」と呼ばれています。

mura1日用雑貨店の店先に積まれている「ムラ」。接地面にはタイヤが巻きつけてあり、丈夫なつくりになっています。 photo by Mayuko Mitani

 まちを歩いていると、至るところで「ムラ」を使っている人々を見かけます。家やお店の前に出しておしゃべりを楽しむする人、小脇に抱えてピクニックに行く人、机として使って作業をする職人さんなど、みな思い思いに使いこなしていました。

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「ムラ」に座って店番をする人、お店の人とおしゃべりをする人たちも。Photo by Mayuko Mitani

mura3ムラ」を机代わりにして金物を直している職人さん。縁台に乗せて使うとは斬新! Photo by Mayuko Mitani

色々なところへ持っていける!ソトを楽しむ文化を支える道具。

実はこの「ムラ」、ほぼ全ての家庭が持っているくらいポピュラーな道具であり、ネパールの生活になくてはならないものだそうです。竹の棒を組み合わせて作られているので、軽くて持ち運びも楽。座面の縁には小さな持ち手がついており、引っ掛けて運ぶことができます。外にも持っていきますが、もちろん家の中でも使います。そしてみんな、その時使いたいところに持って行って座るのです。

まちなかを歩いていると座っている人たちに呼び止められ、「ムラ」を出されておしゃべり会がはじまることもあるそう。そうやって過ごす日常を少し羨ましく思いました。

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「ムラ」を連れて移動中のご婦人を発見。どこへ行くのでしょうか。Photo by Mayuko Mitani

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小脇に抱えてどこかへ向かっている人も見かけました。Photo by Mayuko Mitani

ソーシャルプロダクトでもある「ムラ」

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みんなで集まって、おしゃべりしながら「ムラ」をつくります Photo by Ayaka Sueaki

「ムラ」は工業製品ではなく、全て人の手によって作られている工芸品です。そしてさらに、女性の収入向上のために行政やNGOが指導して販売を行ったり、刑務所で服役中の人々の刑務作業でつくっているソーシャルプロダクトでもあります。

私が訪れた町で販売していたものも、町の近くにある刑務所で服役中の人々によって作られたものでした。カラフルでひとつひとつ柄も異なるので自分のお気に入りを見つけるのも楽しそう!ただし、売っている場所や物によって頑丈さが異なるそうなので、買いたい方はしっかりものを見て買ったほうがよさそうです。

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小さな子供を膝にのせておしゃべりをするお母さんたち。Photo by Mayuko Mitani

「ムラ」のようなモバイルファニチャーを使ってどんな場所でも楽しい居場所にしてしまうネパール人の暮らしに、これからのパブリックスペースを楽しむヒントが隠されているかもしれませんね。みんなが同じ道具を使っているということも、地域独自の風景をつくりだすポイントであるように思いました。

ネパールに行った際にはぜひ「ムラ」に座って、現地の人たちとののんびりとした時間を楽しんでみてください!

 

 

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三谷 繭子

三谷 繭子

ソトノバ副編集長/修士(デザイン学)/広島県福山市出身 パブリックスペースを媒介としてまちなかで様々な人が居場所を感じられる場と魅力ある都市空間をつくりだすため、地域支援やプレイスメイキングの実践を行う。地元孝行プロジェクト「備後のギフト」事務局。