最新のまちなか広場に迫る!第3回全国まちなか広場研究会 IN姫路レポート

今年で3回目となる全国まちなか広場研究会が11月6日(金)に姫路市で開催され、北は札幌から南は熊本まで全国40都市、約200人の広場ファンが集まりました。

自動車中心になりがちであった駅前広場を、人を中心とした駅前広場へと整備した旬の姫路を訪れ、その公共空間のドラマチックさと、既存の都市や地域との繋がりを作り出している綿密なデザインや想いを感じながら、全国まちなか広場研究会に参加し、またプログラムの一部を担当させていただきましたので、その内容をお伝えします。

※全国まちなか広場研究会は、1年に1度、全国からまちなか広場に関心を寄せる人々が集まるイベントで、第1回富山グランドプラザ、第2回長岡アオーレ・ナカドマに引き続き、2013年に大胆なパブリックスペースデザインで注目を集める姫路駅北駅前広場のある姫路市で第3回目の研究会が開催された。

(まちなか広場研究会HP: http://machinakahiroba.com/ )

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姫路駅北駅前広場と姫路城

 


「やってみたい!」が叶う街、人生の舞台としてのまちなか広場へ。


まずは、「まちなか広場が問いかけるもの」と題し、水都大阪をはじめ、都市再生のための公共空間デザイン・マネジメントを実践する社会実験を数多く実践される大阪市立大学の嘉名光市准教授による基調講演が行われました。

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大阪市立大学嘉名光市准教授

講演の中では、お手製のまちなか広場全国マップが披露され、最近のまちなか広場の爆発的な広がりを、会場全員目の当たりにしました。「近年、まちなか広場の重要性が高まっているが、まちなか広場とは何か?一言で説明するのは難しい。」と話されます。全国的な広がりを見せるものの、これまでのパブリックスペースとは何かが違う、そして各地に共通項はあるものの、一概に同じものとしての括りができないことに対する期待感が込められているようにも思えました。

一方で、「まちなか広場は、偶然に生まれたものではない。最近の都市の成熟化と、行政や民間事業者等による様々な都市に関連するプロジェクトに取り組んだ結果にあるもの。この二つの出来事が相まって、まちなか広場の存在意義が高まりを見せている。つまり、まちなか広場は都市のいまを写す鏡。」と話します。

こうした中、嘉名光市准教授が関わられている水都大阪の事例などを紹介され、まちなか広場に求められるものそれは、「人生の舞台としてのまちなか広場。『やってみたい!』が叶う街。」と語られます。そのためには、「いい場」としての仕掛けやマネジメントができる、例えばドラマの演出家のような人も必要と話されました。

 


全国の様々なまちなか広場が集結!第1回まちなか広場賞授賞式と受賞事例紹介


まちなか広場への関心や存在感が高まっていることが感じられる中、全国各地のまちなか広場を表彰する、今年はじめて創設された、第1回まちなか広場賞の受賞式が行われました。

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公共空間「質」研究部会ディレクター園田さん

この「まちなか広場賞」は、例えば、「これまでの中心市街地活性化に関連した評価指標のように、歩行者交通量、小売店舗売上高、公共交通利用者量など、量的な評価が主流な評価方法では、渋谷のハチ公前や、新宿のアルタ前のような、単純に人が多く集まる街や場所の評価が高くなり、富山や姫路のような素晴らしい広場をもつ地域の全国的な評価は低く、適切な評価ではないのではないか」と主催者の園田さんは課題を示します。こうした中、一般社団法人国土政策研究会 公共空間の「質」研究部会が、新しい評価軸を持ってまちなか広場を表彰しようと今年から「まちなか広場賞」を創設し、今回その表彰式と、受賞者による事例紹介が行われました。

全国11のまちなか広場の応募があり、うち、まちなか広場賞(特別賞)については、熊本県熊本市「(仮称)花畑広場」、神奈川県横浜市「かいだん広場」、大阪府大阪市「うめきた広場」、千葉県千葉市「学園通り」、富山県富山市「グランドプラザ」の5件が受賞となりました。また、奨励賞として、愛知県豊田市「豊田市駅西口ペデストリアンデッキ広場」1件が受賞となりました。

授賞式のあと、各受賞事例の関係者による事例紹介が行われました。全国各地の中でも、素晴らしい取り組み、先進的な取り組み、熱意ある取り組みなど、バラエティある事例紹介が行われ、会場の参加者全員にとって非常に刺激的な時間となったことに違いありません。

(詳細: http://publicplacestudy.org/2015/10/22/machinakahirobaaward1_result/ )

 

これらの発表の中で、いくつかの事例発表を紹介します。

奨励賞を受賞した「豊田市駅西口ペデストリアンデッキ広場」については、豊田市経営戦略室の栗本さんから紹介されました。

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豊田市栗本さん

当広場は、ペデストリアンデッキにかかる道路法の道路区域を除外し、広場化することで、市民の日常的な広場利用を促進させる取り組みをされています。そして、広場利用を促進させる「あそべるとよたプロジェクト」を実施し、プロモーションも兼ねて、実際に公共空間を活用する橋渡しも行っています。

豊田市では、2015年4月から、市役所内に「公共空間UseUp」という新たな担当を立ち上げ、これまでどうしても堅くなってしまう土木職の中で、遊び心のあるユル〜い担当を編成したというお話も非常にユニークなお話でした。

 

特別賞の一つ「学園通り(千葉県千葉市)」については、NPO法人Dropsに所属する千葉大学大学院の中村さんから紹介されました。

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NPO法人Drops中村さん

「花を育てると、広場が育つ」と題し発表された千葉大学大学院の中村さんは、ご自身が通う千葉大学の正門から最寄り駅までのメイン道路となる「学園通り」を舞台に、NPO法人で活動されてきた内容を話されました。

「この学園通りは、以前はゴミも多く、日常に歩く人が特別な関心を持つ通りでは無かった」と話します。それが、この通りの電線の地中化が行われることをきっかけに、「学園通りに人が集い、日常的に使われ、街路で起きる出来事が、自分ごとになるようにしたい」と、地域主体で植栽帯を管理するプロジェクトの実施に取り組んできたそうです。

「花を育てることは、地域の方々みんなが興味を持て、積極的に話題にできることが参加のハードルを下げました。また、定期的なお手入れが必要な花は、街路への関心を継続的に惹きつけることになり、これが持続的な活動につながった」と話します。その後、地域住民が発起人となる「学園通りこうしたい」が結成。学生主体のNPO法人が、学業期間が過ぎても活動が持続できるような工夫もしているようです。

どんな既存空間でも、愛着が生まれれば広場になる。そう話す姿は、会場の心を打ちました。

 


姫路駅北駅前広場を徹底的に振り返る!多視点のパネルディスカッション


パネルディスカッションでは、今年の研究会の会場となった、姫路駅北駅前広場に関して、姫路市役所職員、商店街連合会会長、民間事業者など関係者によるプレゼンとディスカションが行われました。

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パネルディスカッションの風景

それぞれの紹介プレゼンが終わり、駅前広場の整備前と後について、どう変わったか、また今後についてディスカッションが展開されました。

神姫バス株式会社の酒井さんからは、「公共交通の乗降場が広いという点がお客様に喜ばれている。また、バスについても23時台の便を増発し、さらに遅い時間の便の増発も検討しており、夜でも安全で楽しく歩ける街になれば」と話します。

都市環境デザイン会議関西ブロック幹事の篠原さんは、今後の広場活用について、「活動の想いを共有し、様々な人を巻き込むことまではできていると思うが、その方々同士が連携し、自立的な活動となることまでは展開できていないのが現状。」と課題を示しました。

その他、日常普通に暮らす方々は基本的に街で活動するということに対してハードルがあるため、街の中に出てきやすくなるために、街との繋がりをつくることが必要であり、それをコーディネートする人材も必要という課題も示されました。

 


全国各地の参加者同士がまちなか広場について白熱議論!


最後のプログラムは、全国の広場を愛する人たち同士のWSです。このWSは、全国の行政職員のお悩み相談の場でもあり、その職員によってテーマが作られています。(※一覧参照)全国各地の広場事情や、お悩み相談など、白熱の議論とともに、様々な繋がりが生まれました。

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WSの風景

※2015年のWSのテーマ

(1) 未来の広場を妄想力でデザインする〜広場妄想ビジョンを可視化する〜

(2) 広場利用の「公共性」を考える〜パブリック・マインドを醸成する〜

(3) 住宅地の広場の未来を考える〜「ご近所さん」による活用の可能性〜

(4) 日本独自の広場空間への挑戦〜日本の伝統的広場文化から再考する〜

(5) 広場マイスターを目指して〜維持・管理から運営、その先の経営へ〜

 


ヒロバニストが繋がり合う全国まちなか広場研究会。2016年は札幌開催に決定!


研究会の最後は、姫路市長の「広場宣言」で閉会となりました。その後、今年開業した姫路ターミナルスクエアの半屋外空間にて、広場に関心持ち、広場を愛する人のことを指す全国の“ヒロバニスト”たちの懇親会が行われ、最後には、来年の第4回全国まちなか広場研究会の開催地が札幌と公表されました。

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姫路ターミナルスクエアでの懇親会

 

広場を愛する心があれば誰でも参加できる、ということから、今年も行政職員、大学関係、NPO法人関係、学生など様々な方々が参加されていました。

全国で新しい広場の整備が進む中、今回の研究会でも全国各地で様々なまちなか広場の試行錯誤が行われていることが分かりました。

参加者数も徐々に増えている全国まちなか広場研究会、来年の開催地、札幌でもどんな最新の広場事情が出てくるのか、とても楽しみです。

 

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やまさき まさき

やまさき まさき

ソトノバ副編集長
森ビル株式会社タウンマネジメント事業部/修士(工学)。 都市計画行政協議を担当後、現部署にてPR・プロモーションを担当。 神奈川県座間市出身、長崎県五島列島が本籍地。 大学院にて、都市公園と公開空地の関係性を研究後、 いくつかの公共空間関連のプロジェクトに参加。 主にパブリックライフ、ソトアイテムなどをテーマにする。 まちづくりとコーヒーのポップアップ店舗「あとさきコーヒー」店主、 コーヒーインストラクター2級。