ひとりひとりの得意を活かす!「くらすクラス」のつくり方

東京都稲城市にあるJR南武線の稲城長沼駅、その高架下を拠点として、地域の学び場「くらすクラス」が2016年4月にオープンしました。その取り組み内容については、2016年11月に開催したソトノバLOCAL#2でもレポートしています。

運営者は、稲城に暮らす地域の人々によって設立された一般社団法人いなぎくらすクラス。その活動は、高架下広場『くらす広場』の管理運営、まちの資源を活かした講座『クラス』の開講、不定期で開催される『くらす市』、運営事務所に併設予定の店舗『kura-stand(くらすたんど)』など多岐にわたります。活動が開始してまだ1年も経っていませんが、どうして次々と新たな活動を生み出すことができるのでしょうか? 今回は、その秘訣に迫ります!

くらす市の一コマ。稲城の子育てサポーターの皆さんによる、絵本の読み聞かせ(Photo by Kurasu Class)

くらすクラスの原点!稲城らしい暮らしを体感できる場「いな暮らし」

 今回は、一般社団法人いなぎくらすクラスの代表の鈴木萌さん(以下、萌さん)と、理事であり萌さんのお母様でもある鈴木ともみさん(以下、ともみさん)の経営するカフェ、「いな暮らし」を訪ねました。ここは、くらすクラスが始まるきっかけとなった場のひとつです。

「いな暮らし」は、JR南武線矢野口駅から徒歩8分、住宅地の中にある民家を用途変更した建物にあります。「食べよう・話そう・つくろう」をコンセプトに、稲城の暮らしにまつわるものを紹介しています。1階にはカフェ、2階はオフィス、お手当て部屋(セラピールーム)、貸しスペースが設けられています。

庭に接した明るい店内。のんびりとした空気、穏やかな時間が流れます。(Photo by Mayuko MITANI)

 くらすクラスの運営者でありながら、普段はカフェ「いな暮らし」を経営しているお二人。くらすクラスを始めることになったきっかけは?と伺うと、2014年に南武線の高架下活用を一緒に行う地域パートナーを探していたJR東日本から、稲城らしい暮らしを発信する活動をしていた「いな暮らし」に声がかかったそうです。

 「いな暮らし」には、稲城で採れた野菜や果物、稲城に暮らし働く人など、地域の暮らしにまつわる様々なもの=稲城の暮らしを楽しくする資源が集められています。また、稲城外からも人を呼び、こだわりの詰まったモノの企画展やアーティストのライブなどが開催されており、まちの縁側ともいえる場をつくりあげています。
 美味しいランチをいただいた後、一般社団法人いなぎくらすクラスの理事を務めるともみさん、中倉美奈子さん(以下、中倉さん)にお話をうかがう中で、くらすクラスに人が集まる理由がみえてきました。

左から鈴木萌さん、鈴木ともみさん、中倉美奈子さん。ともに一般社団法人いなぎくらすクラス理事。(Photo by Mayuko MITANI)

共通点は、稲城に暮らし働いているということだけ。そのおかげで、多様な人が集まっている。

中倉さん|くらすクラスの運営には、これまでの経験も、仕事も、年齢も違う色々な人が関わっています。だからこそ、講座もすごく色々な分野が開講されているんです。私が担当しているクラスは、ガーデニングや植物を使ったリースづくりなど。仕事でも、まちの緑や公園に関わることをしているのでその経験が役に立っていると思います。

くらす広場の脇に用意されたガーデンで、大人も子ども一緒にガーデニング!(Photo by Kurasu Class)

8月に子どもが生まれたばかりという中倉さん。住んでいる地域に、くらすクラスのような場があることで、稲城の暮らしが楽しく彩られるようになったといいます。

中倉さん|初めての子育てで、家に二人きりでいると緊張する場面もあります。でも私には高架下にあるくらすルームやくらす広場があるので、同じような状況のママさん達と情報交換をしたり、子育てを経験済みの方が子どもを少しの間抱っこしていてくれたり、あやしてくれたりということにすごく助けられています。子どもと一緒にふらっと出かけられる場があって、子育て中でも、自分がやりたいと思うことを企画したり、実行できる場があるというのは本当に幸せです。

中倉さんが企画したクリスマスリースづくりのワークショップ。ママ達の交流の場となっています。(Photo by Kurasu Class)

自分の得意なことを表現しよう!不得意なことは、みんなで補い合えばいい。

稲城で子育てを経験されてきたともみさんは、こう話します。

ともみさん私が結婚を機に稲城に移り住んできて、子育てをしている時には、子どもを遊ばる場所は公園か、公民館のようないわゆる公共施設しかなかったんです。くらすクラスみたいな場所があったらよかったのになぁ、って今は思います。

高架下のくらす広場は、通常平日の10時〜17時にオープンしています。日常の使われ方は?と聞くと、子ども連れのママさんが談笑したり、人工芝の上で子供が本を読んだり、ひなたぼっこしながら遊んだりしているそう。開講している講座をきっかけにやってくる人もいます。くらすクラスに専任スタッフはいないそうですが、場の運営はどうしているのでしょうか。

ともみさん|最近は広場を使うママさんたちが来た時に、自分たちで椅子や机を出したり、人工芝を敷いてくれるんです。そうやって場の設営にも協力してくれるようになって、自分たちの場所というふうに使ってもらえるのがすごく嬉しいです。

 

高架下のくらす広場、日常の風景。(Photo by Kurasu Class)

また、くらすクラスの運営のしかたには「いな暮らし」での経験が生きているといいます。

ともみさん|「いな暮らし」も、みんなが自分の得意なことを生かせる場にしたいという想いで開いています。萌とは母娘だけど、お互いにできることが違う。だからこそ成り立っていると思うんです。情報発信や動きのスピード感、人脈など、彼女の得意な部分は私にはできないことです。私の不得意な分野ができる人がいたらすぐ「すごいね〜じゃあお願い〜」と言って、連れてきちゃう。(笑) くらすクラスも、同じようにみんなが思わず協力したくなるような場にしたいですね。

ともみさんが担当しているくらすクラスのお店「kura-stand」(Photo by Kurasu Class)

お二人のお話を通じて見えてきた、くらすクラスの運営のコツ。それは『得意なことを活かせる場』、そして『表現して認めてもらえる場』をつくること。だからこそ、くらすクラスでは主体的な活動が次々と生まれているのではないのでしょうか。

是非くらすクラス、いな暮らしに遊びにいってみてくださいね!

 

<くらすクラス>

住所:東京都稲城市東長沼2-516-2

  (JR南武線稲城長沼駅から、矢野口駅方面へ徒歩1分の高架下)

 

<いな暮らし>

住所:東京都稲城市押立1744-46

営業時間:火・水・金・土 9:00〜17:00

     モーニング / 9:00〜11:00

     ランチ / 11:00〜14:00

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三谷 繭子

三谷 繭子

ソトノバ副編集長/Groove Designs/修士(デザイン学)/広島県福山市出身 パブリックスペースを媒介としてまちなかで様々な人が居場所を感じられる場と魅力ある都市空間をつくりだすため、地域支援やプレイスメイキングの実践を行う。地元孝行プロジェクト「備後のギフト」事務局。