気づけば数時間経過!? 居心地良すぎるイスラムの庭園はまるでアラジンの世界

イスラムと聞くと、何をまず初めに思い浮かべますか? 煌びやかなバザール、アバヤを巻いた女性たちに、モスクへ祈りを捧げる人々? どこか別世界で、難しそうなイメージが日本人の大半にあるはず。

しかし、彼らは非常に人と接することが好きで、友人や家族と一緒にいることが多いのです。目の届く範囲にお互いがいるように空間の利用の仕方も非常に独特でユニーク。今回はまずイスラム世界のことを知ってもらうために、筆者が滞在していたモロッコ王国を中心に、彼らの身近にあるもっとも大切な空間、パティオ(中庭)についてご紹介します。

Fez

モロッコの人々の朝は非常に早く、1日5回の礼拝に合わせて生活します。朝5時が1日のはじめのお祈り。ただ夏は気温がとても高く、日中は40度近くなることもあるため、お祈りが終わるともう一度寝てしまう人も多く、活動時間は季節によってバラバラ。でもそこは砂漠の王国。暑さをしのぐための住居へのこだわりが至るところにみられます。

狭そうに見えてほんとは違う!? スキマの知恵

モロッコの街に共通しているのは、スキマがないほど立ち並んだ家でいっぱいの光景。たとえばモロッコ伝統の街、フェズの旧市街を見てみると、都市にあるべき区画や住居の制限など、まるで関係ないほど家が重なりあって並んでいるのがわかります。もちろんこれはフェズだけでなく、モロッコの主要都市のあちらこちらでみられる風景。細い路地をたくさんの人が行き交い、非常ににぎやかです。

図1

でもこの構造に秘密が。スキマがないほど密集しているため、影が多くでき、陽の光が当たらないため、とても涼しいのです。モロッコの人たちは、影のある場所を見つけてはそこに集います。そしてそこが道の真ん中だろうと、座る!溜まる!

あらゆる場所を自分たちの空間にしてしまい、突然そこに机とイスをもってきてモロッコ伝統のお茶である甘いミントティーを飲みながら行き交う人を見つめたり、談笑したりする、なんてこともしばしば。

あらゆる場所を独自の空間につくり上げてしまう能力に長けているのです。

いつも誰かと一緒にいたい。人の家の庭だってみんなのスペース!

そんな常に誰かといるスペースを作りあげてしまう彼らですが、やっぱり一番居心地がいいのは家。モロッコでは、高い壁に覆われたパティオと呼ばれる中庭がある家が一般的です。たとえ小さな家でも、ほとんどの場合パティオが存在します。各部屋を結ぶ動線上にパティオがあるので、ベッドルームへいくときも、キッチンへいくときも、ダイニングへいくときも、パティオを通ることになります。

中庭といっても、日本のものと大きく異なっており、噴水があるものや、ソファやテーブル、カフェのようなスペースになっているものが多く、居心地が最高にいい!

図2

このパティオに、朝から近所の人たちがどんどん集まってきて、みんなで朝食を食べたり、家族の話や仕事の話をしたり。噂好きな彼らは毎日パティオに集まっては日々の生活を語り合います。

知り合いだけでなく、にぎやかな声を聞きつけて気づけば知らない人も混ざってる…なんてことは日常茶飯事です。

なかなか日本では見ることのできない光景に、最初はきっと戸惑ってしまうはず。

でもそこでミントティーやアボカドジュース、モロッコクレープを食べながら情報収集できるのもまた彼らの生活の知恵。なんでもググってしまう私たちの生活を少し見直してみてもいいかもしれませんね。図4

宗教の関係上、彼らの姿は写真に収められないのですが、こんな日々の井戸端会議をしているのは意外にも男性が多く、朝からパティオに集まっては、気づけば夕方。なんてことも。

誰の家なんて関係なく、思わず時間を忘れてしまうほど居座ってしまうモロッコの住居空間。

日本人が忘れつつある、人と人とのつながりの大切さを思い出させてくれる素敵な空間でした。

(all of photo by Nami Hayashi)

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Nami Hayashi

Nami Hayashi

現在PRコンサルタントとして某PR会社に勤務。横浜国立大学都市イノベーション学府/修士。California State University在学中に国内外を元にした地域研究を始め、大学院ではモロッコの空間をテーマに社会学と空間に関する研究に取り組む。また、在学中にはNPO法人ミタイ基金に所属し、パラグアイを拠点とした国際支援活動にも携わる。現在もさまざまな場所に出向き、多方面で活動中。