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どんなソトが選ばれた!?グッドデザイン賞2018の受賞作品から一挙に紹介!

先日発表されたグッドデザイン賞2018が例年のごとく多くの注目を集めています。

今回の記事では、そんなグッドデザイン賞で今年受賞したものの中から、ソトのパブリックスペースの事例を一挙に紹介したいと思います!

それでは、ソトノバのパブリックスペースの空間カテゴリに分けて紹介していきます。

【空地】

まずは空地の事例です。空地には民間と公共の所有する空地があり、その形態も様々です。さて、どんな受賞作品があるのでしょうか。さっそく見てみましょう!

・広場及びコミュニティづくり [左近山みんなのにわ]

左近山

http://www.g-mark.org/award/describe/48265?token=kTnbRo4H29

団地再生の取り組みとして、団地の管理組合が所有する共有空間を利用した広場をデザインしたもの。こどもや高齢者のためのデザインがなされ、多様な年齢の人々が暮らしやすい団地を目指している。みんなのやりたいことを詰め込んだ広場というテーマからも分かるように、利用者の多様なニーズにこたえる仕掛けがなされている。かつて多くの人々で賑わっていた団地の姿を取り戻すために、広場とコミュニティのデザインを同時に行っている。各地で行われている団地再生の取り組みの中でも、パブリックスペースを上手くデザインした事例と言えるでしょう。

・新しい「都市の庭」のつくり方 [大手町ファーストスクエア・サンクンガーデン・リニューアルプロジェクト]

大手町

http://www.g-mark.org/award/describe/47973?token=F13WiE4Pa5

大手町のオフィスビルの公開空地をリノベーションした事例。興味深いのは、リノベーション案を練るために近隣のオフィスワーカーも含めてワークショップを開催したことである。オフィスビルの足元にある公開空地が当該ビルの利用者の利用にとどまらないというオフィス街の広場のオープンな性質にフォーカスした。また、単に休める広場を作るのではなく利用者の体験価値を向上させるようなハードのデザインとサービスの運営が行われている。
オフィス街のオープンスペースのあり方には、まだまだ論ずるべき点が多くあるようだ。

ここまで紹介した2つの事例、左近山みんなのにわと大手町ファーストスクエア・サンクンガーデン・リニューアルプロジェクトはなんと昨年ソトノバが行ったソトノバアワード2017においても選ばれました!
左近山みんなのにわは【ソトノバ準大賞】を、大手町ファーストスクエアガーデンは【ソトノバ都心賞】を受賞しました。
http://sotonoba.place/sotonobaaward2017result

今年のソトノバアワード2018では一体どんなソトが選ばれるのか、大注目です!!

 

・”劇場街”を再構成する 既存改修 [日比谷シャンテ と ゴジラスクエア の再生]

日比谷しゃんて

http://www.g-mark.org/award/describe/48012?token=vHJmHS4wWt

既存ビルのファサード改修と同時に行われた広場と通りの再構成。新しく隣に出来た日比谷ミッドタウンの広場との連続性を生み出し、一体化することを目指した。都市を改変していく際に、周囲との関係やその場所の歴史性をしっかりと考慮したデザインとして評価された。周囲の日比谷公園の緑など日比谷の持つ都市資源を生かし、日比谷らしさを演出する都市デザインと言えるだろう。今後、都心における高層オフィスビルの改修という事例も増えてくるであろうが、都心であってもその街の地域性を読み込んだデザインを目指し、都市景観の健全な更新が行われることが重要である。

・アールリエット高円寺 [高円寺アパートメント]

高円寺アパートメント

http://www.g-mark.org/award/describe/48242?token=sEdXW2Ijh6

高円寺アパートメントは、集合住宅という単一機能からいかに地域に開いた新しい暮らし方が可能かというテーマを持ってデザインされている。建物の本来の表と裏を反転させ、バルコニー側に芝生広場と店舗を構え、住民と地域の人々の交流の場として利用されている。従来なら塀で囲まれた空間が街に開かれ、集合住宅と街の境界を曖昧にしつつ、1Fの小さな店舗がその間を絶妙につなぐ役割をしている。小さな店舗のスケールは高円寺らしさとマッチしており、人々に心地よい感覚を覚えさせる。街とそこでの暮らし方の関係性を考えさせるデザインと言えるだろう。

・パブリックスペース [てつみち]

てつみち

http://www.g-mark.org/award/describe/48016?token=9PUjnw9rwi

鉄道の地下化によって地上にできたオープンスペースの利用を考える中で、暫定的に利活用を検討したパブリックスペースの実験場としてのデザイン。ユーザー目線を重視し、ワークショップなどを重ねてオープンスペースのあり方に試験的に取り組んだ。今後増えるであろう鉄道の地下化によって生まれる空間デザインに大きく影響を与えるだろう。NAD (Nikken Activity Design lab)がデザイン主体にいることからも分かるように人々のアクティビティをデザインすることに重点を置いている。

・オアシスバンク 琉球銀行牧港支店 [オアシスバンク 琉銀銀行牧港支店]

オアシスバンク

http://www.g-mark.org/award/describe/47989?token=vHJmHS4wWt

沖縄の商業エリアとして発展する場所において、単に銀行という機能を詰め込んだ建築を建てるのではなく、歩行空間と一体化する形で大きなたまり場の空間をデザインしている。銀行という建築の機能に用事のある人もない人も集まり、交流する市民のサードプレイスとしての空間を大屋根をかけて半屋外として創出している。人と人が出会い、滞留出来る場所が地域の活性化においていかに大切かということを教えてくれる空間となるだろう。

・開発で生じる時間と場所の活用とデザイン [仮設HUB拠点-まちへの新しい挨拶の形-]

仮説HUB

http://www.g-mark.org/award/describe/47951?token=GWY4mR7kTc

既存住宅地域にデベロッパーが住宅開発をする際に、数年の工事期間使用されることのないオープンスペースのその時間と場所を、地域と企業を巻き込んで使用していくための手法をハードとソフトの両方からデザインしたもの。時間的、空間的な余白を利用して地域に開かれた、地域のためのHUB空間をつくっている点が新しく面白い試みである。開発のための工事期間中から周辺の大学・企業などを巻き込むことで、開発後のエリアマネジメントをスムーズに行うことが期待されるという目的もあり、新しい都市の開発手法のデザインとも捉えることが出来る。

・Urban living space Installation [XYZ Play-ing: Roamable Home]

urban living

http://www.g-mark.org/award/describe/48017?token=vHJmHS4wWt

台湾のプロジェクト。廃棄された子供用遊具を回収し、組み立てなおしたりするなど再利用して、高架下のようなあまり使われない都市の空間を子供たちの遊び場や憩いの場として活用しようという試み。高架下のような都市にまだまだ隠されたオープンスペースとしてのポテンシャルを持つ空間をデザインによって光を当てるというまさにデザインの力を見せつけられる事例である。

ここまで【空地】カテゴリの事例を見てきましたが、印象的だったのは民間の空地がほとんどを占めていることです。民間が所有する空地を利用してパブリックスペースにしていこうという傾向がこのような結果につながったのでしょう。

【広場】

・駅前広場と道路空間からなる景観 [丸の内駅前広場から行幸通りに繋がる景観]

marunouchi

http://www.g-mark.org/award/describe/48008?token=2g8zdSWobP

首都東京の顔である東京駅前の広場と道路空間の整備。東京の顔に相応しい景観を創出し、交通結節点としての機能も果たす。非常に壮大で威厳のある景観デザインがなされている。木々や照明、ファニチャーなどのディテールまでもが端正に整えられた広場であり、日本を代表する都市の広場と言えるだろう。
この少しお堅いパブリックスペースを行き交う人々がどのように使いこなすだろうか。

【公園】
・グランモール公園再整備 [グランモール公園再整備]

グランモール

http://www.g-mark.org/award/describe/48011?token=vHJmHS4wWt

四半世紀前から広場として利用されてきた公園の設備の老朽化や公園に求められるものが時代とともに変化してきたことから公園再整備事業が決まった。歩行空間に沿って水景、植栽、ファニチャー、照明などのデザインを工夫することで魅力的なパブリックスペースを創出し、憩いと賑わいを生んでいる。また、環境改善や水循環といった思想を表現する広場のデザインになっている。細長く伸びる公園の両側の建築物をつなぐパブリックスペースとして、人々が歩行しやすく、過ごしやすい空間デザインが目指されている。

・公園及び建築 [リバーポートパークミノカモ]

リバーポート

http://www.g-mark.org/award/describe/48014?token=vHJmHS4wWt

公園の改修事業。公園の周囲は豊かな自然に囲まれており、市民のアクティビティも活発であったので「人と人、人と自然が交わる多世代・多文化交流拠点」というテーマを持って公園改修および建築のデザインが行われた。まさに周囲の自然に溶け込み、人と自然とが交わる空間となっていて、市内だけでなく市外からも訪れる人がいる。また、この公園内外で行われるイベントなどを中心に、地域の空き家でのイベントを促したり、観光客の集客の拠点として人を集める核として機能している。地域に還元する公園として、地域に対する公園の新たな可能性を示唆してくれる。

【公園】カテゴリの2つはどちらもこれからの公園のあり方を意識してデザインされていました。今、公園のあり方は各地で議論されています。今後も公園に関する色々なアイデアのデザインが登場することでしょう。

【道路】
・女川町震災復興事業 [女川駅前シンボル空間]

女川町

http://www.g-mark.org/award/describe/48009?token=vHJmHS4wWt

東日本大震災からの復興事業としての駅前広場と歩行空間と商業施設のデザイン。新しい街のコンセプトである「海を眺めてくらすまち」を空間として実現するためにコンセプトに基づいた景観を創出することを重視している。女川町復興まちづくりデザイン会議を設立し、官と民が一体となって街の将来を真剣に考え、町民の愛する街として今後も繁栄していくことを促す空間デザインとなっている。大災害を経験した街だからこそ実現できる、これからの街の明るい未来へと受け継がれるバトンとしての空間デザインと言えるだろう。

・街路空間のリノベーション [花園町通り]

松山 街路

http://www.g-mark.org/award/describe/48010?token=ZCKheCChUd

松山市の幅員40mの大きな道路を2車線に減らすとともに、沿道の歩道を都市の庭として再生した事例。再生され、広がった歩道では芝生の公園のような空間やテラスのように飲食を楽しむ空間が創出された。これらは街の人々の交流や賑わいを生み、歩行する人々にとっての街の感じ方が変わったと言えるだろう。街路空間をリノベーションすることで人々のパブリックライフは変わり、街に賑わいが溢れやすくなる。歩行空間のデザインの重要性を気付かせてくれる。

・パークレット [KOBEパークレットの取り組み]

神戸パークレット

http://www.g-mark.org/award/describe/48257?token=vfsZBPWcBj

通行することが主な目的の道路に、街の賑わいや憩いの場を生み出すパークレットという手法。アメリカで始まったパークレットだが、近年日本においても幾つかの事例が見られるようになった。その中でも、KOBEパークレットは道路のリデザインの理念の一環で、車道の一部を使用した日本初の例である。このツールも歩行空間が豊かにデザインされることの重要性を示唆している。

【道路】カテゴリを紹介してきましたが、これらは特に歩行者のための空間をデザインしている点が印象的でした。車から人に焦点を当てた道路空間の再編が近年よく見られます。

【水辺】

・堤防のリノベーション [木津川遊歩空間「トコトコダンダン」]

とことこだんだん

http://www.g-mark.org/award/describe/48013?token=m0HBZ3GIvW

遊歩道と広場のデザインを伴った河川区域の護岸整備事業。治水と防災という観点と人と水の関わり方という観点の2つがテーマとなっている堤防のリノベーションともいうことが出来る。2つの重要な機能を満たすランドスケープデザインとして評価された。最近、日本では大きな災害が頻繁に起こり、防災という観点が都市デザインの一層重要な視点になっている。これまであまり目立たなかった水辺空間のポテンシャルを発掘し、防災面を担保しつつ、パブリックスペースとして人々に利用される空間となっていくことが期待される。

・調整池 [柏の葉アクアテラス]

柏の葉 調整池

http://www.g-mark.org/award/describe/48015?token=vHJmHS4wWt

調整池のほとりをポジティブな水辺のパブリックスペースとしてデザインした点は非常に興味深い。都市に不可欠な調整池であるが、このように親水空間としてパブリックスペースを創出する事例は多くないように思われる。周辺の商業施設や住宅、教育機関との関係性を持ち、街全体として水辺空間を中心とした自然豊かなパブリックライフを促し、街の賑わいを生み出している。

・ミズベリング・プロジェクト [ミズベリング・プロジェクト]

ミズベリング

http://www.g-mark.org/award/describe/48255?token=ddPeJJp7vC#0

これまで行政に任せてきた河川敷などの水辺空間のあり方を人々が自分事として捉え、その将来についてポジティブに考えていくためのソーシャルデザインプロジェクト。具体的にはウェブでの情報発信や水辺空間利活用の事例紹介、イベント主催など多岐にわたる活動を行う。国土交通省が事業主体となっている点にも注目すべきだろう。多くの人々が自分の暮らしの中で水辺空間を見つけ、その利用方法を考えるようになれば楽しいパブリックライフが待っているはずである。こういったムーブメントが水辺空間だけではなく、公園や道路空間といったこれまで行政が管理を担ってきた空間においても起こっていくと日本のパブリックスペースにもっと活気が溢れるのではないだろうか。

【その他】

・移動式まちづくり拠点 [移動する建築「まちを旅する4つの屋台」「街の中の雲」]

松山

http://www.g-mark.org/award/describe/48274?token=sEdXW2Ijh6

松山市に新しく登場した広場空間において用いられた、街の人々のアクティビティを広場に呼び込むためのツールを開発したプロジェクト。具体的には、地域参加のデザインプロセスを経て、地域性をデザインに取り込んだ移動可能な屋台と大きな雲のような装置が開発された。まさにパブリックスペースを賑やかにするためのツールと言える。

ここまで多くの受賞作品を紹介してきました。まず驚くべきことはグッドデザイン賞2018の中にこれほど多くのソトノバが含まれていたことです。これは、今、空間をデザインするという分野においてソトのパブリックスペースが非常に注目されていることを意味するのではないでしょうか。

都市の中に隠れたオープンスペースであったり、新しく生まれたオープンスペース、再整備する必要のあるオープンスペースなど今回の受賞作品の中にも様々な事例がありました。

しかし、単にオープンスペースがあるだけでは、パブリックスペースとは言えないと思います。オープンスペースを人々でにぎわい、交流を生み、地域のためになるパブリックスペースにするために「グッドデザイン」が必要なのです。

では、パブリックスペースのためのグッドデザインとは何でしょう。今回紹介した作品を読み解いて、各々に共通して浮かび上がってきた重要だと思うことが2つあります。

1つは、パブリックスペースに集まる人、そこで過ごす人のことを考えてデザインするということです。つまり、その空間に人々は何を求めてくるのか、何がしたいのか、何をさせてあげられるのかということを考えて空間をデザインする必要があると思います。

2つは、そのパブリックスぺ―スはどういう場所に存在しているのかということを考えてデザインすることです。つまり、周囲の状況を理解することが重要です。どういう地域なのか、周囲には何があるのか、なぜそこにパブリックスペースが必要なのかということを念頭において空間をデザインする必要も感じました。

実際に様々な分野の専門家によって選出された作品を読み解くことで、パブリックスペースはいかにデザインするべきかということを学ぶことが出来ると思います。皆さんも自分なりにパブリックスペースのグッドデザインとは何かと考えてみませんか?

all Photo by GOOD DESIGN AWARD (http://www.g-mark.org/

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