ソト事例

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オープンスペース|空地

ソト事例

仙台駅前に生まれた懐の深い自由な広場「EKITUZI」

 近年その数が増えている民間企業の運営による広場。コミュニティ醸成、ブランディング、持続可能性、様々な視点から運営方法が模索されています。
 

 特色をもったコミュニティが醸成される広場が生まれている一方、自由さやおおらかさが失われ、少し窮屈さを感じる広場もみられます。しかし、多様な価値観を持った住民たちによって、異なる場を生んでいくことが都市の魅力なのではないでしょうか。

 そのためには、様々な価値観をもつプレイヤー(市民)を受け入れる懐の深い都市であるべきなのかもしれません。そんな問いに答えてくれる懐の深い広場が、仙台駅前に誕生したということで、筆者がさっそく足を運び、実際に見て感じ、利用者等へのヒアリングから得たこの場所の魅力を紹介していきます!

仙台駅前に生まれた期間限定の広場

2017年11月10日、仙台駅東口に期間限定の広場「EKITUZI|エキツジ」。この広場は、ライブホールZEPP SENDAIの跡地で、今後、再開発等が検討されている場所に位置しています。2012年にZEPP SENDAIが閉鎖されてからは、資材置き場などとして使われていましたが、この度、1年半の間、暫定的に広場として使用されることとなりました。仙台駅に新しく生まれた東西自由通路を東口に抜け、左手(北側)に進みエスカレーターをおりていくとEKITUZIの入口が見えます。

 入口からは横断歩道を模したペインティング。十字路を意味する「辻」が名前に使われているように、広場内は横断歩道が交差しています。

その「辻」には、「自動車や信号を気にしない交差点。食と遊びで未来を志向する実験広場。」という案内版。EKITUZIのスローガンである「自由に渡れ。」という言葉からも読み取れるように、この場が【自由】であるというイメージを与えてくれるメッセージが明確に掲げられています。

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仙台駅東口に隣接する「EKITUZI」


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広場の中央に掲げられたメッセージとEKITUZIを運営する株式会社都市設計の氏家さん(写真左側)と岩間さん(写真右側)

稼ぐ空間とのバランスをとったオープンスペースづくり

空地の利活用手法として、全国でもよくみられるようになった屋台村。その多くは、路地を摸した密度の高い配置を採用していますが、EKITUZIの屋台村は少し異なります。

低層の飲食店が並んでいるのは同じですが、床を稼ぐような店舗の配置とはなっていません。中央に広場、それを囲むようにコンテナやイベントスペース、キッチンカースペースが配置されており、路地を作るように配置された屋台村と比較するとオープンスペースが大きく設けられている点が特徴的です。

そして、そのオープンスペースに置かれたテーブルやベンチ、ステージは、ぎちぎちに置かれていないため、広場に行くと、自由な雰囲気を感じます。さらに、この広場には、特定の行動を誘導するようなストリートファニチャーは数少なく、行ってはみたものの手持無沙汰になる人もいるかもしれません。ただ、その分、自由さを感じるのです。

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オープンスペースを囲んで配置された飲食店が入ったコンテナ


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イベントの会場となる広場部分

 

市民が自ら設える?

 そんなEKITUZIに行くと、空間の設えと利用者の場に対する認識の相関関係に気づかされます。

商業施設などにおいて来訪者はお金を払うことで何かのサービスを受けられることが前提となっており、その場づくりにおいて、運営者は、来訪者がどんな対価を得られるのかを明確に伝えることや質の担保が求められます。すなわちそれは、その場に対する来訪者の主体性という視点は失われており、その場で何ができるかを来訪者が考える機会はほとんどないのではないでしょうか。

一般的に地域のなかでも地価が高い駅前は、商業を中心とした営利重視の不動産が集積するのは当たり前であり、これは仙台駅周辺でも同じであるといえます。自身もよく耳にする「仙台駅前がつまらない」という声も、お金でもってサービスを与える・受けるの関係だけで成り立っている場所が多いことがその要因の一つであるともいえます。場を運営する上で、もっと来訪者の主体性を刺激する場を提供することが必要なのではないでしょうか。
 

EKITUZIでは、利用者がその場をどのように使いたいか自ら考える雰囲気を意図的に設えています。例えば、私が訪れたこの日は、利用者のアイデアでコタツが置かれていました。

なぜコタツを持ち込んだのか?実際にコタツを持ってきたという人に話を聞いたところ、「コタツに入って皆で談笑したり、お外でゆっくり色んな人と話せれば楽しいのではないか。それにより普段は生じないようなコミュニティが醸成されるのでは。」と話してくれました。

離れて見ていると、高校生たちがやってきて、コタツに入り、まったりくつろぐ姿も。確かにそこには、コタツをきっかけにした新たなコミュニティが生まれていました。

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市民のアイデアの実験として設置されたコタツでまったりする高校生

場所の制約をポジティブにとらえる

このようにEKITUZIでは、利用者にお金を払いサービスを提供するだけではなく、利用者の主体性を刺激する空間をミックスさせることで、市民の潜在的アクティビティを引き出し、このエリアの持つ可能性を探っています。

再開発予定地であるとともに、地下に都市施設としてJRの在来線が通っていることから、事業が動くまでは一定の建築制限がかかっているEKITUZIの街区。

将来、新たなコミュニティ醸成が期待されるであろう、しかし今はぽっかり空いた再開発エリアを、ただ仮囲いで囲い眠らせておくのではなく、市民のアイデアを発掘するような実験広場として活用することで、将来あるべきまちの姿のヒントが見えてくるのではないでしょうか。

立地や場所の持つ制約をポジティブにとらえ、暫定利用だからこそできる自由度ある利活用を行う。これが将来的に特色のあるコミュニティ醸成に繋がるのではないか。EKITUZIはそんな可能性を感じます。

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All Photos by Odaira Keita

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