ソト事例

Example

オープンスペース|空地

ストリート|道路空間

これが北国のソトの使い方! 地上に歩行者を取り戻す「コバルドオリ」@札幌

札幌駅前通と交わる仲通りに2017年末、突如として出現した店舗群「コバルドオリ」。北海道の厳しい冬をものともせず、たくさんの人でにぎわっています。地元の食材を使った料理を提供するお店や、都心で店舗を構えていきたい事業者に向けた期間限定のチャレンジショップが出店、さらにコミュニティースペースなどの交流機能も備えています。

札幌駅前通は札幌駅から大通、繁華街のすすきのまで貫く中心市街地の背骨ともいえるようなメインストリートです。しかし、大半の人々は駅前通の地下を通る地下歩行空間(愛称:チ・カ・ホ)を利用するため、地上部分の人通りは少なくなります。特に、冬場の北海道は雪と寒さが厳しくなり、よりチ・カ・ホに人が流れていきます。そんな中、地上の仲通りの魅力を高めようという取り組みが、この「コバルドオリ」なのです。

コバルドオリを管理・運営する「札幌駅前通まちづくり株式会社(以下、まちづくり会社)」への取材を通して、冬にも負けないソトづくりのコツは何かを追いました。

再開発用地を活用しブランディング

まちづくり会社はこの再開発計画をまちづくりのチャンスと捉え、周辺地権者の方々と共にワークショップを開催しました。札幌駅前通周辺の再開発が着々と進む中、駅前通だけでなく仲通りの使い方も大事なのでは、という意見が出たことが、コバルドオリ実現の最初の一歩でした。

ワークショップでは仲通りの景観を今後どのようにしていけば良いかを話し合い、大手チェーンではない小さなお店が力強く商売をしている景観や、仲通りにありがちな路上駐車のない景観を理想とする意見が多かったそうです。

まちづくり会社は、ワークショップ等でまとめた案を基に土地のオーナーと交渉。再開発が検討されている土地の一部を3年間の期間限定で借り受けて、「景観の実験」を実施するに至りました。今回は様々な制約から仮設建築物として一から設計。3週間という超短工期で完成したため、正に突如として札幌都心に新スポットが出現! 開業当初から話題を呼んでいました。これが今日のコバルドオリとなっています。

6

店舗の裏の仮囲いの向こうには、検討中の再開発用地が広がる Photo by Shota TANAKA

起業家、創業者を支援するチャレンジショップ

気になるコバルドオリに入っているテナントの内容ですが、コミュニティスペースのコバル計画の他、チャレンジショップでは道産食材を用いた飲食店舗をメインに6店舗が入居します。北海道ならではの文化や食を味わうことができるため、観光客にも人気のスポットになりそうです。

このチャレンジショップには、北海道の魅力を発信する新規事業者が、原則として最長6カ月で入れ替わる事を条件に、月額4万円から(管理費など別途)という手頃な価格で出店できます。このため、市民の中でもあまり知られていないような個性豊かなテナントが次々と登場し、観光客のみならず様々な人が楽しめる場になっています。

一方のコミュニティスペースは、基本的にノマドワーカーが集うようなコワーキングスペースとして使われてます。イベントをしたいときは貸切にすることもできる、多目的スペースとなっています。

コミュニティスペースを利用する人とチャレンジショップで店舗を構える人が一堂に会するコバルドオリは、今後まちを面白くする人たちが集う場としての役割を果たしていきそうです。

駅前通から

コバルドオリの全体写真 Photo by 札幌駅前通まちづくり株式会社

mitorizu

コバルドオリ全体見取り図 Figure by Shota TANAKA

チャレンジショップ

新規事業者向けのチャレンジショップ。道産のカラマツ材を使ったCLT(クロス・ラミネイテッド・ティンバー:直交集成板)を採用 Photo by Shota TANAKA

コバル計画内装

コミュニティスペース「コバル計画」。道産木材を使用、暖かな雰囲気になっている Photo by 札幌駅前通まちづくり株式会社

ウチとソトを丁寧につなぐ

北国のソトの使い方として、季節を通してウチとソトをつなぐことのできるハードを丁寧にデザインすることが非常に重要だと考えます。

例えば、夏は室外に向けて店舗を展開しソトでアクティビティを誘発する。冬はソトと緩くつながりながらも室内でアクティビティを誘発する、といったような仕組みをハード面で構築するといったことです。

コバルドオリは大きな窓を道路側に連続して設置するなど、室内と室外の関係性を緩くつなげる建築としてのハードが、うまく機能していると感じました。また、内外装に道内産の木材をふんだんに使うことで、暖かな雰囲気をつくり出している点も重要なポイントです。

道行く人々が寒さしのぎにふらっと立ち寄ってしまうような仕掛けが、寒い冬でもソトと室内を結び、わざわざ地上を歩く理由となります。

2017年の冬から始まったコバルドオリ。雪解け後の春になったら、ソトの共用部を活用するプランもあるそうです。

デッキ

共用部デッキにつくられたベンチ Photo by 札幌駅前通まちづくり株式会社

将来的には仲通り全体を使ったイベントなども実施したいとのこと。道路占用許可の申請など制度の壁が高く、なかなか実現することが難しい面もあるようですが、楽しみにしています!

2

コミュニティスペースにはまちづくりに関わるチラシが並び、観光客も立ち寄る Photo by Shota TANAKA

Twitter

Facebook

Google+