新たなリニアパーク登場!メキシコシティの一大プロジェクト「Chapultepee Cultural Corridor(CCC)」で街はどう変わるか?

南米では、クリチバ市の前市長Jaime Lerner (ジャイメ・レルネル)氏によるサンパウロ立体公園軸構想*など、幹線交通軸を大胆にリ・デザインするプロジェクト提案が増加しつつあります。ランドスケープの部分ではニューヨークのハイラインに影響を受けていますが、前稿「クリチバのストリートデザイン」でも述べた通り、リニアな公共交通軸線というコンセプトを貫く点は南米都市のアーバンデザインの潮流に沿ったものです。

そうした中、今回は、デザイナーチームFR-EEの提案によるChapultepee Cultural Corridor(チャプルテッペ・カルチュラル・コリドー)について紹介します。

Chapultepec Cultural Corridor (CCC)構想とは

貧困層を含めて、およそ900万人が居住し、公共空間が不足してる現状にあるメキシコシティ。

Chapultepec公園からのびるChapultepee通りは、この都市において歴史的に非常に重要な通りとされています。スペイン人による征服以前の上水道に沿ってはしる道であったとともに、アメリカ軍駐留期に近代的なトラムや地下鉄が初めて通った通りでもありますが、現在は10車線に75000台/日の交通量を抱える自動車中心の状態に。歴史性、コンテクストを無視した状態であることにFR-EEメンバーは問題意識を持ちました。

そこで、歩行者中心のマルチモーダルな(多様な交通手段を選択できる)通りへと再整備するようなマスタープラン(延長距離1.3km、総面積42000㎡、プロジェクト実施2015-17年)を作成しました。

商業・文化プログラム、再生可能エネルギーインフラを踏まえた複層化した案となっています。

© FR-EE / Fernando Romero EnterprisE via ARCH DAIRY

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via ARCH DAIRY

道路の再配分については、事故がないように横断歩道の配置を工夫しながら、メインのプロムナードは中央に置くとともに、バス・自転車・スケーター・車椅子・ベビーカー、各々の専用レーンを確保するとしています。

市民に緑の重要性を啓発するランドスケープについては、コンテクストに沿った植栽を採用し、実質的にもヒートアイランド現象を抑えるように計画するとともに、街区ごとにゾーニングしていきます。

こうした、大規模な構造物建設にGOサインが出る、メキシコシティーの成長の勢いには目を見張るものがありますね。

via ARCH DAIRY

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6050万ドルの民間投資を誘発!

既存の公共交通結節点のあり方ともリンクする当プロジェクトについて、具体的なプロセスまでは明らかではありませんが、行政サイドでは、6050万ドルの民間投資を誘発し、建設完成する模様です。

via ARCH DAIRY

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具体的に組み込まれるコンテンツとしては映画館、アートギャラリー、音楽・文学のトレーニングセンター、文化ワークショップ機能が挙げられています。

事業化に際して、269本の街路樹保全プログラムも組まれました。(2015年時点)

「本当に公共空間と言えるのか?」—専門家からは批判も

良いことづくめのように見えますが、民間投資による大型プロジェクトであるゆえに批判もあります。

例えば、メキシコシティ市内全体でみると、そもそも世界でも有数の雄大な面積を誇るChapultepec 公園がある当該地区は公共交通利便性や緑地確保の観点からは恵まれている状況で、他に公共空間・生活インフラを整備すべき、急を要する地域があるという意見。

あるいは、公聴会などプロジェクトの地域ニーズを把握する過程をスキップして、投資家探しを優先し、コンテンツも投資家が決定する、というプロセスへの不満も。

そして、より多く声が挙がっているのは、単なるショッピングセンター化やジェントリフィケーションへの危惧とのこと。

こうしたChapultepee Cultural Corridorを取り巻く状況は、公共の福祉への貢献面からの評価や、リニアなプロジェクトならではの合意形成の難しさを表していると言えます。

高度経済成長期、同じく、高架や人工地盤が支える立体都市を夢見た我が国。

インフラストック再編の観点から、今後FR-EEの構想が描くような市民が憩える空間が実現していくのか注視していきたいところです。

via Archi Dairy

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出典:
1)Karissa Rosenfield:Proposes to Restore Mexico City Avenue with Cultural Corridor Chapultepec via ARCH DAIRY (19 August, 2015) ww.archdaily.com/772173/fr-ee-proposes-cultural-corridor-chapultepec-in-mexico-city
2)Mexico City to build cultural corridor between Chapultepec and Zona Rosa via EFEMexico City(19 Aug 2015)http://www.efe.com/efe/english/life/mexico-city-to-build-cultural-corridor-between-chapultepec-and-zona-rosa/50000263-2691771
3)Laura Bliss: The Backlash to Mexico City’s High Line-Style Park via City Lab(Sep 29, 2015)http://www.citylab.com/design/2015/09/the-terrible-plan-for-mexico-citys-high-line-style-park/408010/
*JAIME LERNER 氏事務所でのヒアリングによる
プロジェクト対象地:Avenida Chapultepec, Ciudad de México, D.F.

ソース:Archi Dairy

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三浦 詩乃

三浦 詩乃

助教横浜国立大学都市イノベーション大学院 交通と都市研究室
横浜国立大学都市イノベーション大学院 交通と都市研究室助教、ソトノバライター/博士(環境学)。歩行者空間に着目し、旭川市、東京都、アメリカ・ニューヨーク市など国内外のストリートデザインと、そのマネジメントに関する研究を行う。