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地元と世界の観客が一緒につくるベルギー・イーペルの奇祭「猫祭り」

皆さん、ベルギー西部にあるイーペル(Ieper/ Ypres)というまちをご存知ですか?

日本人にはあまり馴染みのないまちですが、ベルギーの他都市、そして近隣諸国からは “Cats’ city” として知られています。

なぜなら、イーペルでは3年に一度、”Kattenstoet(カッテンストゥッツ)” と呼ばれるパレード(通称 “Cats Parade”、以下「猫祭り」)が開催されているからです。

1938年から3年ごとに5月の第2日曜に開催されている猫祭りですが、2018年は第45回猫祭りが開催される年!ということで、普段はロンドン支部ライターとして記事を執筆している筆者が、今回イーペルに「出張」し、猫祭りに参加してきました!

猫祭りの歴史的背景

まずは、猫祭りの歴史についてご紹介したいと思います。

12世紀、イーペルは繊維業で栄えました。イングランドから輸入されたウールを保管する倉庫では、ネズミの被害から毛織物を守るために、ネズミの天敵である猫が多く飼われていたといいます。

14世紀になると、ヨーロッパでペストが蔓延。その原因は魔女にあると考えられました。

そのなかで、猫は「魔女の使者(faithful companion of witches/ helper of the devil)」とみなされ、その結果、多くの猫が繊維会館(The Cloth Hall/ Lakenhalle)から投げ落とされました。

その後、1817年まで、1年に一度の「猫の水曜日(Cats’ Wednesday)」に、猫を投げ落とす行事(Cat throwing)が行われました。

このような悲劇の歴史を忘れず、多くの殺された猫を追悼するため、1938年3月、9人の侍者を連れた道化師がおもちゃの猫を鐘楼から投げたことから猫祭りが始まりました。

その後1955年より、現在のような大規模なパレードが行われるようになったのです。

前夜祭から街は大盛り上がり!

そんな歴史をもつ猫祭りですが、いまでは日本人を含め海外からも多くの観光客が参加する有名な祭りとなりました。

イーペルは、普段はとても静かなまちですが、猫祭りに際してまちはどんな姿となったのでしょうか。

まちの通りをよく見ると、いたるところに猫たちの姿が!

例えば、こちらはコーヒーショップのウィンドウ。

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コーヒー豆でできた猫の姿が。(Photo by Ai SUZUKI)

イーペル駅から10分ほど歩くと、猫祭りメイン会場であるマルクト広場(Market Square/ Grote Markt)のある市街地に到着。

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着々と準備が進むマルクト広場。(Photo by Ai SUZUKI)

前「夜」祭といっても、ヨーロッパはこの時期、午後8時でもまだまだ明るく、多くの人々がまちでその雰囲気を楽しんでいました。

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バンドミュージックにあわせ踊る人々。 (Photo by Ai SUZUKI)

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繊維会館前に現れた魔女たち! (Photo by Ai SUZUKI)

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「猫たち」の行進。 (Photo by Ai SUZUKI)

いよいよ猫祭り当日。まちじゅうが「猫」で溢れる1日の様子をレポート!

メインのパレードは午後からですが、まちは朝から大盛り上がり!

パレードのための場所取りをする人、ユニークな店員さんがいる屋台、素敵な音楽の演奏など、パレード開始前からまちはお祭りの雰囲気に溢れ、祭りに参加する人々はみんなわくわくした様子でした。

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朝から場所取りをする人の姿も。( Photo by Ai SUZUKI)

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猫祭りオフィシャルグッズ(?)の屋台。猫祭りフィナーレを飾る「猫投げ」で使用される猫のぬいぐるみと同じものが販売されていました。( Photo by Ai SUZUKI)

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マルクト広場では、朝から素敵な音楽の演奏が。( Photo by Ai SUZUKI)

ワッフルのお店も路上に登場。パレードを見ながら手軽にベルギーの味を楽しむことができますね!

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商品名は、オランダ語、フランス語、英語で表記。( Photo by Ai SUZUKI )

マルクト広場には、猫の女王ミネケ・プス(Minneke Poes/ Pussy Cat)も登場し、あとはパレードの開始を待つばかり。

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猫の女王ミネケ・プス。繊維会館がデザインされたドレスがとても素敵です。 (Photo by Ai SUZUKI)

華やかなパレードが開始!

いよいよパレードが始まりました!パレードには様々な工夫を凝らした数十のフロート(日本でいう山車のようなもの)や仮装をした人々が登場します。

今回はその一部をご紹介します!

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洗濯機をモデルにしたフロート。猫に扮した子どもたちがとってもキュート! (Photo by Ai Suzuki)

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観客にウェーブを求める出演者の「猫たち」( Photo by Ai SUZUKI)

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猫の王様シープル(Cieper)。その高さは6メートル、重さは180キロ! ルート沿いの建物からパレードを楽しむ住民の姿も(出典:https://www.facebook.com/jerome.derudder/

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突如、観客にパレードへの参加を求める出演者(出典:https://www.facebook.com/jerome.derudder/

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猫に扮した子どもたちがフロートとともに行進。(Photo by Ai SUZUKI)

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こちらは道化師に扮した子供たちによる行進。( Photo by Ai SUZUKI)

猫祭りのフィナーレを飾るのは、名物「猫投げ」

1時間半にわたるパレードが終了すると、フィナーレを飾るのは、名物「猫投げ」。繊維会館から多くの猫のぬいぐるみが投げられました。

「ラッキーキャット」と呼ばれるこのぬいぐるみをキャッチした人には、幸運が訪れるといわれています。

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たくさんの人たちが、猫をキャッチしようと繊維会館前に集結。(Photo by Ai SUZUKI)

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「猫投げ」をした道化師の観客の盛り上げ方もばっちり!(出典:https://www.facebook.com/jerome.derudder/

世界から多くの観光客。パレードの中心は変わらず地元の人々

猫祭りに参加して驚いたのが、日本人をはじめ海外から多くの観光客が来ていたことです。

訪れていた日本人何名かと話してみると、ドイツやフランスといった近隣諸国に住む人、日本からツアー等で来ている人が半分ずつといった印象でした。

このように世界から多くの観光客を集めている猫祭りですが、パレードの参加者は、子どもたちをはじめとした地元の人々が中心。

パレードの沿道では、子どもたちのパフォーマンスを見守っている先生たちの姿も。

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ペアになってダンスを披露する子どもたち。 (Photo by Ai SUZUKI)

世界から奇祭として注目されている一方で、地元の人々にとっては、「悲劇の歴史を伝承しつつ、地域全体でまちを盛り上げる大切な行事」として、猫祭りは機能、存在しているのだと感じました。

地元と観客が一緒に楽しむ「観客参加型」の祭り!

また、パレードでは、出演者が観客にウェーブを求めたり、出演者によって選ばれた観客が一緒にパレードに参加したりと、ただ見て楽しむだけではなく、「観客参加型」の要素が多く感じられました。

猫祭りのパンフレットや会場マップのほとんどがオランダ語、もしくはフランス語で書かれており、英語での情報はとても少なく、実のところ、どこでどんなイベントが開催されるかといったことが分からないままパレードが始まってしまいました。

しかしながら、実際にパレードが始まると、色鮮やかな衣装やメイク、巨大なフロート、息の合ったダンスなど、言葉がわからなくても十分に楽しむことができました。

また、パレード、そしてフィナーレの「猫投げ」ともに、出演者が観客に参加を求めるタイミングが多くちりばめられていたことで、観客も一体感をもってパレードに「参加」していると感じることができていたと思います。

3年に一度の猫祭り、本記事で少しでもその雰囲気を味わっていただけたら幸いです。

次回開催は、2021年5月!興味のある方は、ぜひ参加してみてください!

第45回猫祭り(Kattenstoet)
日時: 2018年5月12日(土)~13日(日)
会場: マルクト広場(Market Square/ Grote Markt)を中心とした、イーペル(Ieper/ Ypres)市街地
公式ホームページ

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