レポート

Reports

レポート

実践企画も本格始動!岡崎「おとがワ!ンダーランド」から学ぶ「タクティカル・アーバニズムの作法」第2回レポート

タクティカル・アーバニズムで実際に得られる効果や情報って?どんな手順が必要で、どういう意識が大事なの?将来的に、どんなことにつながるの?習うより、実際にやってみることがいちばんの理解につながるはず。 そんな趣旨のもと、タクティカル・アーバニズムについて、5回の講義と実践から一連のサイクルを体感しながら学ぶ、都市計画家協会(JSURP)共催「タクティカル・アーバニズム・スタジオ」。今回はその第2回をレポートします。

ゲスト講師に、岡崎まち育てセンター・りた事務局長・天野裕さんをお迎えし、おとがワ!ンダーランドの事例から実践のコツを習得。7月の実践企画も本格始動です。(ソトノバでもおとがワ!ンダーランドの記事を発信しています。レポート インタビュー

ゲスト紹介:天野裕さん

NPO法人岡崎まち育てセンター「りた」理事局長/チーム・おとがワ!ンダーランド事務局 1976年岡崎市生まれ。博士(工学)。岡崎市の公共施策および公共施設の計画/デザイン/管理・運営、市民活動・地域活動およびまちづくりの支援、空き家と路地を活用した地域再生、民間活力を生かした公共空間の利活用促進等に取り組む。

4月にソトノバでも取り上げたメキシコシティの居住運動についても研究なさっていたそうで、そのお話もとても興味深かったです。

2

行政主導の事業に、民間主導の活動が介入できた背景

3

おとがワ!ンダーランドの特徴は、行政主導の公共空間整備【大きなリノベーション】と、民間主導の遊休不動産活動【小さなリノベーション】のハイブリッド事業であったこと。はじめは、乙川の水辺空間と歴史文化遺産を活かすことを目的にした、行政主導の事業(乙川リバーフロント地区整備計画)でした。 当時、乙川は、付近に集客装置として大きな商業施設がひとつあるのにも関わらず、人が集まり賑わっているのはイベントや花火大会の時だけ。日常的な活用はほとんどありませんでした。中心市街地の空洞化が問題となっていた岡崎市では、ハード面の整備だけで賑わいを取り戻すことの難しさは周知の事実。いかに人々を外に引き出し、公園や川へと回遊させるか、ソフト面でのアプローチの必要性が明白になっていたことが、民間主導の活動が介入することにつながったのではないでしょうか。

4

この地域の問題点がソフト面にもあったことが明確に伝わります。

いかに法規制をうまくクリアするか

公共空間に介入するにあたって、やはり難関だったのが法規制をクリアすること。 専門家の分析から合理性を証明しようとしたり、実測してみたり、試行錯誤で挑戦しますが、なかなか行政は首を縦に振ってはくれません。 一方で、「こうしたらいいんじゃない?」と実現可能なアイデアをくれたのは、他でもない行政の方だったそう。 たしかに、法規制についての知識があるなら、その範疇で禁止されていないこと、実現可能なことが何かわかるはず。天野さんから飛び出たのは、ぜひ行政の方にアドバイスを求めてみてはどうか、と目からウロコのコメントでした。 ほかにも、パブリックな場所でアート作品の展示に挑戦しているアーティストやキュレーターにも、タクティカルなアイデアやスキルを持つ「タクティシャン」の素質があるのでは、と期待の目を向けています。

5

自らの経験から、タクティカルアーバニズムへの期待のふくらみを伝える天野さん。

ただ、天野さんは、その場限りの普遍性のない解決法は、長期的な変革にはつながらないと主張。

タクティカル・アーバニズムとは、短期的な実践を長期的な計画につなげていくことを目標とした、戦略的な手法であることが重要なポイント

だと天野さんは伝えます。

「なにかしらリスクがあるから法律があるんです。姑息な言い訳をし続けて実現するのは、本質的な解決にはなりません。あとで痛い目を見たり、一点突破で他の場所や事例には使えないこともあると思います。そのバランスをとっていくことが大事ではないでしょうか。」

7月のアクションに向けて企画プレゼン

6

完成度の高いプレゼンから、みなさんの熱い意欲が伝わってきました。

天野さんの講義をふまえて、各グループが考えている企画を発表。現実的な案かどうか、長期的なプランにつながる部分があるかなど、さまざまな視点から議論が進みます。

1

A班は「忙しい生活をエンジョイする」ためにリラックスできる場所を提案。

14

B班のコンセプトは、「なかやすみ家」。他のグループのアクティビティとどう関連させるかが課題です。

7

C班はハーブテーブルを盛り込もうとしているようです。

15

こども「も」楽しめる丸の内、を目指すD班。アイデアが活発に飛び交います。

デモプロジェクトの舞台は、丸の内・仲通り。各班、丸の内らしさも意識しながらコンセプトを練ってきたようです。どのグループも話が途切れることなく、みなさん積極的に発言を交わしている様子がとても印象的でした。

9

各班をみてまわる天野さん。「逆にたくさん学ばせてもらいました!」

10

ブレストにポストイットを使ったり…

11

アシスタントも積極的に意見を出していきます。

最後に、全体の配置計画を打ち合わせ。

12

各班の希望をすりあわせながら、全体の配置計画も徐々に決まっていきます。会が終わった後も、それぞれの班で打ち合わせがてら、飲みに行ったグループも。盛り上がってきましたね。 はたしてどんな形になるのか、7月のアクションにこうご期待! all of Photos by Ayano Kumazawa

【イベント情報】

イベント名: JSURPまちづくりカレッジ2017前期課程プログラム タクティカル・アーバニズムの作法 〜パブリックスペース活用における戦術とアプローチ〜第2講「経験者から学ぶタクティカル・アーバニズム」
日 時: 6月13日(火)19:00−21:00
講 師: 天野裕/岡崎まち育てセンター・りた事務局長/チーム・おとがワ!ンダーランド事務局
場 所: 日本都市計画家協会

 

Twitter

Facebook

note