まちなかでの子育ての場としての「道」の可能性とは?ー藍染大通りに見る過去から続く歩行者天国の活かし方ー

ソトノバでも注目している道路空間活用。

その一つの考え方として「道」をまちなかの子育ての場と捉える取り組みが、東京の下町・根津にある「藍染大通り」で行われています。

今回、その活動メンバーであるNPO法人コドモ・ワカモノまちing(以下、まちing)とTOKYO PLAY主催による「道◯(まる)ミーティング~道の可能性をさぐる学習会~」の第1回が現地で開催されるということで参加してきましたのでレポートします!

道◯(まる)ミーティングを通して、藍染大通りの根本的な思想や運営体制、きっかけが見えてきました!

下町で繰り広げられる偶発的な路上アクテビティ!

まずはじめに、この藍染大通りで活動されているまちingの星野さんと地元・藍染町会の澤田さんからこの街を案内してもらいました(左が星野さん、右が澤田さん)。

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藍染大通りは毎週日曜日が歩行者天国となっており、月に一度、子どもの遊び場として開放されています。

遊び道具はまちingのトラックで運ばれてきた秘密兵器の数々と澤田さんの家から引かれている水など。

このご時世で、都会では普段見られないような、子どもたちの笑い声とアクテビティが展開されていました!

近所の若きジャグラーが突然芸を披露したり、通りがかりのカップルがベーゴマで遊び始めたりと、普通の屋内施設では起こりにくい偶発的なイベントにあふれていることも印象的でした!

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また、この秘密基地的な空間を支えているのがまちingのトラック。

元々、まちingは2001年から神田で子どもが遊べるシェアハウスを運営していましたが、再開発によって取り壊しに。

その後、遊び道具を積んで移動するモバイル形式の秘密基地を思いつき、現在のスタイルになったとのこと。遊び道具を保管・運搬するツールとして、ドリンクを積むトラックやハイエース、自転車リアカー、バギー、岡持ち(ラーメン屋さんが出前で使う道具)のなんと5種類もあるそうです!

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町会と子育て世代の利害が一致がきっかけ!

藍染大通りの歩行者天国は、かつて都電が近くを走っていた30~40年前頃からのもので、藍染大通りはとても賑わっていた商店街だったため、町会が警察に要望し現在まで続いているとのこと。しかし、現在は昔ほどの賑わいや商店もない状態で、車が通れない不便さから近隣住民から歩行者天国の継続について疑問が出ていました。

ただ、町会としては歩行者天国がなくなると街はさらに賑わいがなくなるのでは?と感じており、歩行者天国の廃止は避けたいと考えていたそう。

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そんな状況の中、子育て世代だった澤田さんは、東京の下町ならではの子育て世代の悩みの種である、子どもを安心して遊ばせられる公園や広場の少なさを、歩行者天国を使って解消できないか考えました。

このような町会と子育て世代の利害が一致した結果、月に一度の子どもの遊び場として歩行者天国が活用されるようになったそうです。

実は、澤田さんはどちらかというと町会では新参者なのですが、本業が保育園の園長先生ということもあり、町会から厚い信頼を得て実施、継続できているそうです。

また、藍染大通りは災害時の貴重な避難場所になり得るとのことで、こうした日常的な藍染通りの活用は防災にも一役買っているようです。

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運営側の覚悟が豊かな道空間をつくっている!

たくさんのアクティビティが見える豊かな道空間ですが、実際にどうやって実現しているのでしょうか。

話によると、ここは町会とまちingによる実行委員会形式にしているとのこと。

また、行政からのお金は基本的に使わず、まちing所有の遊び道具とボランティアで成り立っているようでした。

本人たちによると、月に一度の開催なので利用者も分かりやすいし、運営者もそれほど負担になっていないとのことでした。

ただ、ここは道路である以上、騒音だったり通行者に水がかかったりと色々なトラブルがつきものです。

そういった問題に対しては利用者のママさんからこんな言葉が出ていました。

「澤田さんの覚悟がしっかりしているからトラブルには真摯に対応するし、相手も半端な言いがかりはしてこない。利用者もそういう姿を見ているから安心して自分の子どもを参加させられている」と。

町会も澤田さんの覚悟があるから、信頼して運営を任せていけるのかもしれません。この地域に骨を埋めるつもりの覚悟だからこそ出来ていると澤田さん。

町会も高齢化が進んでいたので、こういった楽しく町会で活動する青年が入ったことは助かっている部分もあるようです。

また、騒音が気になる家からちょっと離れて開催したり、音の出ない道具にしてみたりと細かい対応ができているのは、行政ではなく地元町会が運営しているからこそとの声もありました。

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都内に残る歩行者天国の可能性!

今後、どのように活動を展開していきたいかについては、星野さんから「行政に提言し、行政予算でできるようにしたい」とのこと。

やはり財源がないことは運営上厳しいのも事実。

ただ、利用者の親や子どもからお金をとらないことが 、突然の演奏会や路上落書きなど様々な偶発的なアクティビティを生んでいることもあり、その状態は保ちたいとのことでした。

ちなみに、今度は歩行者天国の時間を延長して、夜間に映画上映会を予定しているとのこと!

星野さんの想いを伺うと、「藍染大通りのような小さな道路での歩行者天国は都内で意外とたくさん残っている。そういった場を再構築して、他世代が集える無料の場として日本の道の文化、縁側や縁日、井戸端を復活させたい。」とのことでした。

今回の見学を通して、過去の商店街から続く歩行者天国という資源を現代の子育て環境に活かすという、新たな地域コミュニティの再生を感じることができました。

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~道の可能性をさぐる学習会~「道◯(まる)ミーティング」第1回

【開催日】 6月26日(日)14:00 ~ 16:30
【見学先】 藍染大通り(文京区根津2丁目,根津神社入口の交差点を入った通りです)
地図:http://p.tl/N-qU  最寄駅:千代田線根津駅(徒歩4分)
【内 容】 13:45 ~ 14:00 現地集合・受付(移動式子ども基地トラック前)
14:00 ~ 15:00 見学
15:00 ~ 15:30 一緒に片付けをお手伝い
15:30 ~ 16:30 地元の澤田さんにお話を伺います。
【定 員】 25名
【参加費】 ペイフォワード式※(500円~)
【主 催】 NPO法人コドモ・ワカモノまちing(http://www.k-w-m.jp/
TOKYO PLAY(一般社団法人登記準備中・http://www.tokyoplay.jp/

 

Photo by Endo Tsubasa

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遠藤 翼

遠藤 翼

柏の葉アーバンデザインセンター[UDCK] ディレクター/栃木県出身/自由奔放な家族と自然に囲まれて育つ。大学にて建築学・都市計画を専攻し漁村の空間やコミュニティについて研究。前職では住民参加のまちづくりや公共空間活用を支援、現在はUDCKにて施設企画・地域連携を担当。休日はハンモックとSUPを持ち歩いて、公園や水辺の可能性について模索中(チームメンバー絶賛募集中!)。