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レポート

ソトの場で、だれもが“よりみち”できる学び場づくりをめざして!横浜・関内地区に現れたモバイルファーニチャーたち

横浜市役所や横浜スタジアム、日本大通りオープンカフェなどがある横浜・関内地区。市役所の移転や横浜スタジアムのリニューアルなどパブリックスペースや公共施設など注目のプロジェクトが多い地区でもあります。

そんな横浜・関内のとあるビルの一角で、雨のある日、屋台や椅子、ブックワゴンに小上がりなど、たくさんのモバイルファーニチャーが集まっていましたので、レポートします。

実施されたのは、JR関内駅前南口の駅前にある関内中央ビルの1Fのピロティ。古いビルではありますが、市役所が入居しているビルでもあります。そのピロティは、普段は搬入出の車が一時的に駐車するスペースだったり、ビルの入居者のエントランス空間にとして使われています。

なぜそんな場所に、モバイルファニチャーたちが!?

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これは、「ヨコハマよりみち大学」の準備会議の一環として集合したそうです。「ヨコハマよりみち大学」とは、よりみちしやすそうなオープンな場所を非日常使いして、まちの日常を、新しい視点で学べる場をつくっていこう!というプロジェクト。横浜・関内にあそびのある学び場をつくりたいと、学習環境デザイン事業を行う処デザイン学舎の声かけで、ビルのオーナーさんや関係各所との調整・許可の上、このソトの場で実施されているそうです。

今年に入りキックオフされたこのプロジェクト。2回目の打ち合わせから、この場所を使った野外のミーティングを実施しています。オープンな場で気持ち良く考えた結果、このピロティにどれだけの”よりみち”ポテンシャルがあるのか、試しにモバイルファーニチャーを持ち込んでみよう!となり、さまざまなモバイルファーニチャーたちの共演となった模様です。

photo by 秋吉浩気 @カマタブリッヂ

photo by 秋吉浩気

今回は、ある意味ゲリラ的な社会実験であり、完成されたイベントというよりも、もったいない場所を使ってみた!という感覚に近いと思います。まさに、つくりながら考えて実行から始める、ソトノバが注目している、TACTICAL URBANISM(タクティカル・アーバニズム)にも通じます。しかも前回の野外ミーティングは1月末ということで、アクションへのスピード感の速さが伺えますよね。

気になった、モバイルファーニチャーを見てみましょう。
まずは、「出張さんかく屋台」。tomito architectureさんが、第二回吉祥寺コミュニティデザイン大賞を受賞し、実現したもの。なぜ、三角なのか。吉祥寺の都市構造の中に斜めに鉄道が走ったことで、鉄道沿いに三角形の敷地が複数あり、使いにくい三角形の空き地の活用方法として、どこにでも出せる三角形の屋台が生まれたそうです。

折りたたみもできて、吉祥寺の地図も書かれていて、コミュニケーションのきっかけにもなりますね。

続いては、慶應義塾大学加藤文俊研究室の学生が作成した、20m黒板シート。チョークで、子どもでも大人でもコミュニケーションが生まれる黒板シート。秀逸なのは、シートを巻く際に設置された黒板消しを通るので、巻くだけでチョークが消えること。ナイスアイデアですね!

#黒板消し付き 20m黒板シート。 #慶応大加藤文俊先生 の研究室学生の力作!

ソトノバ|sotonoba.placeさん(@sotonoba)が投稿した写真 –

そして、少し時間が経つと、みんなで椅子を寄せ合って、映画上映会。「バンクシー・ダズ・ニューヨーク」。これは、配給元のアップリンクの企画で、映画(本編)の公開前に冒頭の22分だけ「プレビュー・ショー」として、自主上映できるというものです。ソトでも気軽に楽しめるアクティビティ。一発でみんなが集まるソトのアクティビティとしては鉄板ですね!

#映画上映会 が始まった! コミュニケーションやアクティビティをデザインするパワーがすごい!

ソトノバ|sotonoba.placeさん(@sotonoba)が投稿した写真 –

慶應義塾大学加藤先生のINSTAGRAMでは、他にもいい写真があったので紹介しますね。上部の写真は、ブックワゴン。カレーキャラバンと共に移動している「カレーキャラバン・ブックス」と、有隣堂さんのご協力で本を読めるフリーライブラリーとして子供から大人までコミュニケーションが生まれます。

最後に、慶應義塾大学加藤研究室が記録した動画をご覧ください。1日の流れが早送りで流れています。設営から始まり、1日で起きたいろんなアクティビティやコミュニケーション、加藤先生の提唱するプロジェクト、「爽やかな解散」で、撤収まで記録されています。

爽やかな解散(場づくり編)
黒板やスタンプ、ラジオ、イスなど、基本的にモバイルな装置で場を改変するというテーマのプロジェクト

最近、いろんな場所で起きている、屋台やマルシェなどのモバイルファーニチャーを通じた仮設空間。運搬の手間こそあるものの、あまり大きなお金をかけずとも、ちょっとした人の協力や支え合いで、何気ない場所にコミュニケーションやアクティビティが発生する。そんな取り組み、今後もソトノバでは注目していきたいです!

◯概要

実験企画:ヨコハマよりみち大学(開講準備中)

よりみちメンバー:有隣堂、慶應義塾大学加藤文俊研究室、オンデザインパートナーズ、tomito architecture、秋吉浩気、明治大学ユメラボ、処デザイン学舎(代表 齋藤美和子)

協力:横浜市建築助成公社、横浜関内駅前ビル

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