「くらすクラス」からまなぶ、地域の運営が可能にする活動のバッファー【ソトノバLOCAL@みなまきラボ#2レポート】

新たにアクションを始める地域に訪問・密着し、ソトを楽しく豊かに使いこなすためのアイディアを発信していく「ソトノバLOCAL」

その第1弾プロジェクトを、ソトノバが運営パートナーとしてお手伝いしている横浜市旭区・相鉄いずみ野線の南万騎が原(以下、みなまき)の「みなまきラボ」で実施しています。

8月に開催した「ソトノバLOCAL@みなまきラボ#1」では、西千葉HELLO GARDENから西山芽衣さんをお招きし、「新しい暮らしの実験」をキーワードに「広場の使い方」や「『場』の運営」に関するお話をしていただきました。

あれから早3か月。11月1日に2回目となる「ソトノバLOCAL@みなまきラボ」を開催しました。今回お話してくださったのは、JR南武線・稲城長沼駅の高架下広場「くらす広場」を拠点に稲城の魅力発信・コミュニティづくりをおこなう「くらすクラス」の運営メンバーのひとり、鈴木萌さん。

今回もみなまきラボでの活動の様子と併せて、11月1日に開催した「ソトノバLOCAL@みなまきラボ#2」の模様をお届けします!

第2タームを迎えたみなまきラボ。新しい主体に向けたプログラムの拡大

「みなまきラボ」では、引き続き各運営パートナーによる企画のもとみなまきを楽しむプログラムが日々実施されています。前回も紹介した「みなまき直売所」は、その規模を拡大。さら「みなまきクッキング」と題し、「みなまき直売所」で売られている横浜野菜を使った料理教室を開催し「みなまきラボ」の人気企画のひとつとなっています。

横浜の農家さんによる横浜野菜を販売する「みなまき直売所」 photo by みなまきラボ

横浜の農家さんによる横浜野菜を販売する「みなまき直売所」 photo by みなまきラボ

こちらも前回に続く企画の一つ、ランタンプロジェクト「みなまきホタル」は、「みなまきラボ」を飛び出し駅前広場のライトアップ実験を実施。これまでの実施で利用者の95%が子どもであったことから、地元の小学生が描いた絵をシェードとして用いたランタンを用いてのライトアップ実験を行いました。

駅前広場でのライトアップ実験 photo by みなまきラボ

駅前広場でのライトアップ実験 photo by みなまきラボ

>>>「みなまきラボ」の活動の詳細は、過去のレポートから!

そんな様々切り口から地域が関わる仕掛けを施す「みなまきラボ」は、第2タームを迎え、「新たな主体へ試す」というミッションのもと活動を続けています。

そこで、今回「ソトノバLOCAL」では、「みなまきラボ」と同様に駅前に拠点を構え、地域で暮らすひとが運営を担う「くらすクラス」から、その運営メンバーのひとり鈴木萌さんをゲストに招き、その活動から地域を巻き込んだプログラムの開催や運営のヒントを学びました!
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稲城の資源が集まる開けた高架下「くらす広場」と「くらすルーム」で起きていること。

JR南武線・稲城長沼駅。

駅の周りはみどりも多い静かな住宅地。そんなゆったりと時間が流れる稲城長沼駅の高架下に「くらすクラス」の運営拠点「くらす広場」と「くらすルーム」はあります。

この地はもともと電車が地上を走っていました。しかし、矢野口駅-南多摩駅間のJR南武線連続立体交差事業により稲城長沼駅の高架化の工事が完了したのは2015年3月のこと。それから1年経った今年4月、「くらすクラス」はオープンしました。

「くらすクラス」は、JR 東日本による地域との連携強化「選ばれる沿線ブランドづくり」として始まったプロジェクト。高架下の活用というと商業施設が多くの例を示すなか、地域の拠点として活用する数少ない事例の一つです。

まるい穴の開いた白いフレームと柱を囲う黒板が印象的な「くらす広場」とシンプルでかわいいフォルムの「くらすルーム」を設計したのは、建築家の岩本唯史氏と刀禰尚子氏。高架下でありながら風通しが良く、明るい空間が形成されています。

そんな「くらす広場」の日常は、人工芝にテーブルと椅子が置かれ、子連れのママさんたちが集まる地域のたまり場として、ゆったりとした時間が流れています。そして、これに加え、地域の資源を活かした数々のプログラムが実施されています。

高架下広場「くらす広場」のようす。脇には用水路が流れている。 photo by ShihonaARAI

高架下広場「くらす広場」のようす。脇には用水路が流れている。 photo by ShihonaARAI

まちの資源を活用し、まちの人とコラボした、そのまちならではのクラス(講座)「くらすクラス」

その一つが「くらすクラス」というネーミングの由来ともいえるクラス(講座)の開催。まちのなかで、まちの資源を活用し、まちの人とコラボして、そのまちならではクラスの開催をコンセプトに企画が組まれています。

これまでに稲城の里山の植物を使った「草木染め体験のクラス」や、稲城在住の陶芸家による「ろくろ体験クラス」など地域の資源を活かし、地域の人が得意とするクラスが開催されてきました。時には高架下を飛び出し、稲城市内にある農園などに行き「ブルーベリーの摘み取り体験クラス」なども実施しています。

「くらす広場」の一部には、地域のひとも一緒に日々お世話をしているという「くらすガーデン」。育ったハーブなどを使い料理教室のクラスなども開催しているのだとか。 photo by ShihonaARAI

「くらす広場」の一部には、地域のひとも一緒に日々お世話をしているという「くらすガーデン」。育ったハーブなどを使い料理教室のクラスなども開催しているのだとか。 photo by ShihonaARAI

テーマに合わせ市内外からクリエーターやアーティストが集まる「くらす市」

2ヶ月に1度開催されるマルシェ「くらす市」は、毎回異なるテーマを掲げ、市内外から出店者が集まり開催されています。「くらす市」の時は「くらす広場」の白いフレームがブースに様変わり。

「くらす市」の開催について萌さんはこう話します。

稲城の魅力発信も目的の一つではあるけれど、駅というのはまちの出入り口であり、まちとまちの交流が生まれるようにしたい。

「くらす市」の出展者さん同士、来てくれる人同士がそこでの出会いをキッカケに、互いのまちに「行く」と「来る」の関係づくりを大事にしているのだとか。

稲城だけに特化するのではなく、あえてほかの街からも面白い人を呼ぶことは稲城の人にとっても刺激になる。稲城にもこんなお店もあったらいいな、こんなまちになったらいいなと思いながら出展者をセレクトしている。

と、「くらす市」で生まれる地域間の交流に期待を寄せているんだとか。

4月のオープン時 に開催した「くらす市」のようす photo by ShihonaARAI

4月のオープン時に開催した「くらす市」のようす photo by ShihonaARAI

土曜の夜を本で愉しむ「サタデーナイトブッカー」

土曜の夜を愉しみたいと始まったのが、毎月第4土曜の夜に開催されている「サタデーナイトブッカー」です。

みんなが選りすぐりの本を持ち寄て紹介するというシンプルな企画でありながら、毎回遅くまで盛り上がるんだそう。

新たな試みとして実験的にスタートした「kura-stand」

そして、新たな試みとしてスタートしたのが、くらすクラスのお店「kura-stand」
くらすクラスがスタートし約半年。今では常連さんもいるという「くらすクラス」には、長期滞在の方も多いことがわかってきたようで、広場で買ったり飲んだり食べたりできればという声から始まりました。

また、稲城のいいものを買えるところがないよねという声から、地産のものを売る場ともなればと地域の野菜などの販売も実験的にスタートさせました。

一方、まだまだ地域の人のニーズがわからないということもあり、どんなものがほしいのか、少しずつ出店を重ね見極めていきたいと萌さんは話します。

新たな試み「kura-stand」 photo by くらすクラス

新たな試み「kura-stand」 photo by くらすクラス

違うコミュニティに属する運営メンバーがもたらす多様な人脈とプログラム

たくさんの写真でくらすクラスの様子を紹介していただき、後半は参加者の皆さんと円になりトークセッション。次々と質問が上がり、突っ込んだ話まで議論をすることが出来ました。

話題はまず運営体制について。

くらすクラスの運営メンバーに、専任スタッフはいません。皆さん、運営メンバーである傍ら普段は稲城で別の仕事をしています。

それぞれが動き回っているので、運営で大変な面もあるようですが、一人一人が違うコミュニティに属しているため、それぞれの持っている人脈で、幅広い活動が可能になっているのだとか。

さらに、運営メンバーには子育て中のお母さんなどもいるとのことで、その関わり度も人それぞれであるのも特徴の一つ。

皆さん稲城で住み、働き、子育てをしている一市民でもあるので、それぞれライフスタイルによって、活動のかかわり方も変わってきます。そんな現状について萌さんはこう話します。

課題であるけれど、今後自分もライフスタイルの変化があり得ると思うと、その変化があるなかで関わり続けられる仕組みがあるといい。

自らがまちを愉しむことを大前提に、ライフスタイルに合ったかかわり方を、互いが尊重し合えるのが地域によるマネジメントのヒントの一つなのかもしれません。

さて、今回のお話しでキーワードでだったのが「人脈」。

「くらす市」のお話では、市内外問わずテーマにあった出店者に声掛けをしているとお話ししてくださったように「これは面白い!」と思うと、稲城にきてもらうため、すぐさまラブコールを送るという萌さんのアグレッシブな行動は圧巻!

そんな熱い情熱を持っているのは萌さんだけ?と思いきやくらすクラスの運営メンバーはそんな熱い想いをもったひとばかりのよう。

「関心ごと」はメンバーそれぞれ異なるもの。ひとりの興味だけでは呼べない幅広い分野の方が稲城に集まってくるのは、いろんなメンバーで運営しているからこその強みだとお話ししてくださいました。

運営メンバーによる異なる「関心ごと」とそこから拡がる「人脈」が、活動のバッファーを大きくし、多様なプログラムを生んでいるのが印象的であった「くらすクラス」の取り組み。

今回の「ソトノバLOCAL」をキッカケに、みなまきと稲城も「行く」「来る」の新たな関係を築くことができたので、今後のコラボレーションが楽しみです。

<みなまきラボ>

アクセス 相鉄いずみ野線南万騎が原駅より徒歩1分
所在地 神奈川県横浜市旭区柏町127 相鉄ライフ南まきが原内
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荒井 詩穂那

荒井 詩穂那

(株)首都圏総合計画研究所研究員/NPO法人・ハマのトウダイパークキャラバン実行委員会メンバー  神奈川県横浜市出身。行動派。現場派。学生時代は、近代における東京・大阪・横浜の公園計画や小広場空間の採用について研究。現在は、都市計画コンサルタントとして働く傍ら、休みの日には地元横浜で、公園等の活用プロジェクトを実施。